【8】 ドライブ インより車を走らせてから凡そ一時間が経過し、予定通り海は目前の位置にまで差し掛かっていた。 海に来るなんて僕自身とても久しぶりの事である、以前ここに来た時には男友達3人で完全にナンパ目的に来ていた。 しかしやはり何の収穫も得ずに無残にも皆敗退し、そのまま何もせず家に帰った覚えがある。 あれから7年が過ぎ過去の苦い経験とは一転し、今では愛する優子と一緒にこうして海へ来られる様になった。 決して当時の様なナンパ目的では無く、優子と幸せを分かち合う為に・・・。 それから僕達は無事サンビーチへと着く事が出来、そこに車を停め早速優子と一緒に海の見える表へと出る事にした。 「優子、ここは砂地だから足を取られない様に気を付けて歩くんだよ。」 僕は優子の頭に麦わら帽子を被せ、優子が転ばない様に手を繋いで更に注意も促した。 優子はとゆうと初めてのこの広い砂地の見える光景に辺りを見回し、度肝を抜かれたのかその場を呆然と立っていた。 それから少しすると今度は優子の方から興味津々と言った感じで、僕の手を引き歩きだした。 少し歩いた所で海が見えて来た、潮の香りが風に乗って運ばれて来る。 そこで初めて優子と一緒に海へ来れたんだと僕は実感した。 天候は晴れてはいるがまだ5月、流石に海水浴を楽しんでいる者の様子も無くここへ来ている人数もそれ程多くは無い。 僕は何度も砂地で倒れそうになる優子を支えながら、どうにか無事人気のいない海の前まで辿り着いた。 遠くに人が少しいるが、優子の存在には気付いていない様だ。 「ネエ トシオ ウミノナカハ ドウナッテイルノ?」 海が余程不思議な光景に思えたのか優子は僕に訊ねてきた。 「僕達とは違う生物の世界がここにはあるんだよ。 僕はそんな素朴な質問をする優子に解り易い様簡単に教えてあげた。 「フ〜ン・・・ワタシタチモ アノナカニ ハイレルノ?」 優子は海に興味を持ったのか更に質問をする。 「僕も優子も海の中には入れないよ、お魚さんとは住む世界が違うからね。」 そう言うと僕は持って来たシートを砂地に被せ、その上に優子を座らせ僕もその隣に腰を下ろした。 それからしばらくそこで二人肩を寄せ合い海を眺めていた。 こんな時に僕の事を優子はどう思ってくれているのだろう? 思い切って僕は優子に質問をしてみる事にした。 「ねえ優子、僕の事どう思っている?」 「・・・・・」 優子は黙って僕の顔を覗き見ると、僕の腕に自分の腕を回し更に僕の側に寄り添って答えた。 「ワタシヲ ダイジニ シテクレル タイセツナヒト♪」 僕は流石にこれには照れてしまった。 「・・・ハハハ・・・ありがとう優子・・・」 「グゥ〜〜」 照れていたのも束の間、せっかくの良い雰囲気な時に僕のお腹は鳴り出した。 今朝優子が作ってくれた朝食以外、僕はまだ何も口にしてはいない。 時間は午後3時、流石に腹も空いてくる。 僕は先程コンビニで購入したパンと牛乳をセカンドバックより取り出し、そして食べる事にした。 それから少し経って優子が口を開いた。 「ウミッテ ヒロイネ・・・ ネエトシオ スコシ アルイテキテ イイカシラ?」 優子にしては驚くべき発言である、自ら行動を起こす何て今までに無かった事である。 僕は人間らしく変化した優子を嬉しく思う反面、一人での行動がとても心配でもあった。 しかし優子のその成長ぶりを評価し、あえて一人で行かせてみる事にした。 先程の優子は砂地で何度も転びそうになりながら歩いていたが、今度は一人で上手に歩けている様だ。 そんな成長ぶりを見ている内に夫である以前に、何故か親心を実感してしまう俊夫であった。 続く・・・
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