【45】 僕がここでリハビリを受けてから二ヶ月が過ぎようとしていた。 体の調子も大分良くなり、予定より早く明日僕は退所する事となった。 昼食を終え談話室でくつろいでいると、美野月 若菜さんが僕の下に現れた。 「こんにちわ、この前は話の途中で帰ってスミマセンでした。」 今日も優子は家へ帰っている、ハムスターのトイちゃんもここにいるので帰る必要もないと思うのだが。 そんな時に決まって今日も彼女は現れた、優子に会えない理由が彼女にはあるからなのだろうか? 「今日は私の知る限り全ての真実をお話するためにこちらに参りました。」 彼女は以前優子はサイボーグと言う意味有り気な言葉を残して帰って行ってしまった、僕はその事について早速訊ねてみる事にした。 「はい私も信じられないのですが、以前の俊夫さん自信からその様な事を聞きました。 電話に出て下さった優子さん自信も、その言葉に否定がなかった事を考えると本当の事なんだと思います。」 (優子がサイボーグ?) 僕はサイボーグと言う意味は良くは知らない、しかし何となく人間とは多少違った意味を持つ言葉とは認識出来ている。 彼女ならその意味を知っていると思い、確認のために聞いてみる事にした。 「サイボーグというのが世に実在するのかは知りませんが、優子さんの体はロボットの様です。 どこからどこまでがそうなのかは知りませんが、以前の俊夫さんから聞いた話では確か『NAZA』がどうとか言っていました。」 (NAZA!?) 確か以前テレビのニュースで聞いた覚えがある、アメリカにある特殊機関で宇宙の研究の他に様々な開発に取り組んでいる組織だそうな。 そして最近日本でも新しいロボットの発売がどうとか言っていたと思うが。 しかし僕が見たそのロボットはブリキの玩具の様な姿をしていたが、優子の姿は何処をどう見ても完全な人間の姿をしている。 以前の僕が美野月さんにそんな嘘をつく理由でもあったのか? 全てはまだ謎だが、その前に何故美野月さんはそんな事を僕に言いに来たのかを聞いてみる事にした。 「私は俊夫さんの事を兄の様に慕っていました、そしてその様に考えようと努力もしました。 でも俊夫さんは事故に遭い記憶を失われてしまいました、正直私の事まで忘れられるのは嫌だったんです。 全てを話し思い出すきっかけにでもなってくれればと思うのと、その事で私の事も思い出し妹としてでも私の事を好きになって欲しいと思いました。 私が優子さんと会わないのは、私の正体を知ってまた優子さんが俊夫さんの下からいなくなってしまうのを恐れての事です。 もう俊夫さんにはそんな辛い思いをさせたくないんです!」 彼女は僕の前で涙を見せた、彼女の話す事は真実なのだろう。 以前の僕がこんな子に嘘をつくとも思えないが、優子がロボットの体を持つとは限らない。 もし優子が彼女の言う通りサイボーグだったとしても僕には関係ない事だ、僕が愛しているのは優子という人格なのだから。 「そろそろ私は帰ります、また兄として甘えに来ても良いですか?」 僕はここであえて兄として助言をした。 「君が僕の下に来てくれるのは嬉しいけど今日は兄の立場として言わせてもらうよ、記憶を失った障害を持つ僕の世話をするより早く良い人を見つけて幸せになりなさい。 良い人が見つかったらまた僕の下に報告しにおいで、それまでは兄として若菜の幸せを願っているからね♪」 「お兄ちゃん・・。」 翌日僕は施設の仲間や職員に温かく見送られつつ、優子とトイちゃんと仲良く一緒にここを退所した。 「帰ったら何が食べたい?、優子ね俊夫のために頑張っちゃうんだから♪」 優子が何であれ愛する僕の想いは変わらない。 僕は若菜の言った事には優子には触れず、これからの優子との甘い生活を描いていた。 続く
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