【44】(仮) 今日僕は優子と海へ行く夢を見た、あまりにリアルなその光景は今だに脳裏に焼きついて離れない。 夢の中に出てくる女性は何故か人間とは違う姿をしていた、しかし僕は確かにその女性を優子と呼んでいた。 優子が海に向かい駆けて行くその姿に、僕の胸は何故かせつない思いで苦しくなった。 こんな夢を見たのは昨日の若菜さんから聞いた『サイボーグ』と言う言葉が気になったせいであろう。 あまりにリアルなその夢の光景を冗談がてらに僕は優子に話してみた。 「!?・・・、もしもその夢の通り私が半身ロボットだとしたら、俊夫は私の事を愛してくれる?」 少なくても今僕の側にいる優子は人間の姿をしているし、仮にもしも優子がロボットだとしても愛する事が出来る筈だと僕は素直に思った。 「君が僕の事を想ってくれている様に、僕の想いは変わらない筈だよ。」 優子は何か思い詰めた表情で、考えている様であった。 「ねえ俊夫、ロボットって事に対しては抵抗はないの?」 「!?・・・・」 ロボット?、優子は自分がロボットとでも言いたいのか?。 僕は仮に優子がロボットでも良いと、真剣に彼女に告げた。 「そう・・・解ったわ、これから話す事について驚かずに聞いてね実は・・・」 彼女は自分がアンドロイド(人型ロボット)なのだと僕に告げた、真剣な表情で話す彼女に嘘はない様に思えた。 そしてその後にまた信じられない事実を彼女に告げられた、それは僕自身がサイボーグ(半身ロボット)だと言う事を。 どうやら僕は過去に一度死んでいるらしい、しかしNAZAと言う特殊機関により蘇生術を受け生き返ったとの事である。 あまりに突然過ぎる内容に僕は信じられなかった、すると優子は僕の頭の後ろの方に手を回し引っかかるものの何かをパチンと弾いた。 僕の頭の中に以前の出来事の全ての記憶が蘇る、そしてさっきまでいた病院施設は無くなり僕は科学室のような部屋でベットに横たわっていた。 僕は全てを思い出した。 今の本当の世界は西暦2257年、僕が今までに見ていた世界は架空世界で今から250年も昔を舞台に僕は『俊夫』として生きていた。 僕の本当の名は『アダム』ロボット達の反乱を防いだ元革命軍リーダーであったが、その時に知り合った敵軍の女性型アンドロイド『イブ』と恋仲になってしまい僕は一部の人間に恨まれてその後僕は殺されてしまった。 そんな中、特殊機関NAZAによりアンドロイドとして生を受けた僕は人間に裏切られた不信から『イブ』(優子)と擬似世界を生きていたが、ロボットも人間も受け入れられる様になった僕の気持ちをイブは見越してまた僕の記憶を呼び戻してくれた。 「アダム、全てを思い出したかしら?」 そう訊ねるアダムの姿は相変わらずの全身綺麗なメタリックボディーである。 「擬似世界の君も良いけど、やはり今の君の姿の方が僕的には好みだよ♪」 イブは僕の話をクールに受け流すと、今の世界の状況を僕に教えた。 どうやら今度はロボットの反乱ではなく、僕を以前殺した男が独裁で世界を苦しめているらしい。 ロボットを世界から完全に排除させようとし、その上人間までも支配しようとする彼の試みを許す訳にはいかない! 僕はイブと一緒にエアーバイクに乗り込んだ。 彼の野望を阻止する為、僕は身体中に仕込まれた7つの武器を駆使して戦う事を誓うのであった。 それは人間とロボットが共存出来る様な平和な世の中を取り戻す為でもあった。 「飛ばすぜ優子じゃなかったイブ♪」 「俊夫・・・やっぱり現実のアダムの姿のが好みよ♥」 二人の戦いはまだ始まったばかり、砂が飛び交う廃墟(街)にエアーバイクの爆音が響く。 終わり? 【44】 「俊夫は幸せものだな、こんな良い子にいつも看病されて。」 「本当よ、俊夫も優子ちゃんの為にも早く元気にならないと駄目よ♪」 週に一度は必ず来る僕の両親だが、相変わらず二人の事を僕は思い出せない。 しかし決して他人とは思えないところは、やはり家族だからなのだろう。 「優子ちゃんいつも泊り込みで俊夫を看てもらって本当に有難うね、でも優子ちゃんのご両親がさぞ心配されているんじゃないかしら?」 「・・・・私、家族がいないんで・・・・。」 「あら、そうなの!?ごめんなさいね・・・。」 (優子に家族はいない!?) そう言えば僕はまだ優子の事を何も知らなかった、そもそも僕と優子が出会ったきっかけは何なのだろう? 「あら?またつい長居しちゃったわ、そろそろ私達帰るわね。」 「そうだな、じゃあ俊夫しっかりな」 「俊夫には優子ちゃんがいるから私達も安心よ、じゃ悪いけど優子ちゃん俊夫の事ヨロシクね♪」 僕の両親は帰って行った、そこで僕は優子に先程気になった事を聞いてみる事にした。 「優子、僕達が出会った理由って何なのか教えてくれないか?」 彼女は僕に話たくないのか何故か黙っている、それから暫くして優子は訳を話してくれた。 「ナンパ♪」 「なんぱ?、僕が!?」 「そう、俊夫が?」 以前の僕がどう言う人間だったのかは今となっては解らないが、よりにもよって僕はまだあどけなさの残る若い少女をこの僕がナンパしたと!? 「って言うのは嘘で、・・・私の方からナンパしたの♪」 「え、嘘!?・・・優子が僕をナンパ!?」 優子は僕をからかっているのか、ニコニコしながら僕の方を見つめた。 彼女の話す事はどこまでが本当の話なのだろう? 「ねえ俊夫、そんな事よりちょっとお外出てみようよ!」 「外へかい?」 何か話を上手くはぐらかされた気もするが、体の調子も大分良くなった僕は久しぶりに外へ出てみる事にした。 以前僕が表に出た時は車椅子で優子に押してもらっていたが、今回は先生の許可も出たので杖を使い歩く事にした。 「どう俊夫、体の調子は大丈夫?」 「お陰様で一人で充分に歩ける様になったよ、外の散歩も良いもんだね♪」 先生の話ではリハビリの成果もあり、もうすぐここを退院出来るようである。 体の方は自宅療法で治癒して行き、記憶に関しては思い出せる事もある様なので諦めない様にとの事であった。 「ねえ俊夫、風が気持ち良いね♪」 「うん・・・・。」 何だろうこの感じは、何か覚えがある様な気もするが。 「表の世界を初めて体験させてくれたのは俊夫なんだよ。」 「・・・・・・・。」 そう言えば優子は以前「また一緒に夕暮れの海が見たい」と言っていた。 「優子、僕が退院したらまた一緒に海へ行かないか?」 「!?・・・・うん♪」 喜ぶ優子の目には涙を浮かべている、秋の夕暮れの日差しは眩しく二人の姿を赤く染める。 過去はどうあれ僕が優子を好きになる理由はそれだけで充分に思えた。 続く
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