【43】 僕の家ではハムスターを飼っていた様で、優子は定期的に家へ帰っては家の管理とハムスターの世話をしている様である。 優子のいない間も僕はリハビリに勢を出した、そんな中一人の若い女性が僕に近づいて来た。 「いつもリハビリ頑張られていますね。」 身形も清楚で綺麗な顔立ちのその女性は、僕の体が動かず病棟にいた時からよく見かける人であった。 「はい、お陰様で大分体の調子も良くなってきました。 どなたかご家族のお見舞いで来られた方ですか?」 僕と同じ時期に入院してそれからここでリハビリを受けている人が他にもいるのかと思い聞いてみた。 「いえ、私はあなたのお見舞いに参りました。」 「僕の!?」 彼女の話によると僕がまだ記憶喪失になる以前に就職していた会社で、いつもお世話になっていたとの事であった。 名前は『美野月 若菜』さんと言い、僕にとっては妹のような存在であった様である。 「失礼ですが僕はどうやら記憶喪失になってしまったようで、過去の事を何も思い出せないのです。」 すると彼女は突然涙ながらに僕に謝ってきた。 「実は俊夫さんが記憶喪失になった原因は私にもあるんです。」 他の利用者の邪魔にならない様、僕は談話室の方へと足を運び彼女の話を聞く事にした。 僕が記憶喪失になる以前の出来事を彼女は淡々と話始めた。 困った時にいつも悩みや相談を受けてくれた事、そして僕に恋心を抱いてしまった事。 僕には以前から付き合っていた彼女がいた為に、彼女からの告白を断った事。 彼女からの話によると、僕が記憶喪失になる要因は無いように思えるが? 「君には何の罪もないよ、僕が記憶を失ったのは単なる事故だから。」 「・・・・・・・・・・。」 「違うんです!」 彼女は意を決した表情で語り出した。 「私は嫉妬から、『サイボーグに人を愛する権利は無い』と言ってしまったんです! ・・・・今ではとても後悔しています。」 その事が原因で家を飛び出した優子を追いかける際に、僕は何らかの事故にあったのだと彼女は言った。 彼女が語る話の中で不可解な部分がある、それは『サイボーグ』と言う言葉だ。 僕はその事を聞こうと彼女に話掛けようとした時に、優子の姿が見えた。 「俊夫〜、おまたせ♪」 すると美野月さんは少し慌てた様子で「スイマセンまた後程に・・・」とだけ言い残し、そのまま帰って行ってしまった。 「さっきの人、どなた?」 「・・・来客者の方が僕の事を気づかって、わざわざ励ましに来てくれてたんだよ♪」 優子はどうやら美野月さんとの面識がない様だ、ここは優子が傷つく事を恐れ僕はとっさに嘘をついた。 「ふ〜ん・・・ねえ俊夫、見て見て♪ ハムスターのトイちゃん、無理やりここの人に頼み込んで連れて来ちゃった!可愛いでしょ?」 (優子がサイボーグ・・・まさかね、ハハハ・・。) その後僕達は自室へと戻り、そのハムスターに餌をあげる際に僕は指を噛まれるのであった。 続く
|
|