【39】 車を走らせる僕らに対し、二人が追って来る気配は無い。 僕の隣では優子がまだ恐がっているのか、うつむき口を閉じている。 優子の服ははだけ全身は土まみれになって汚れていた、そんな姿を見て僕は優子に対し申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 「優子、ごめんな」 僕は優子に謝ると優子は「私の方こそ心配かけてゴメンナサイ」と謝ってきた。 ここで僕は美野月さんとの関係を嘘偽りなく、この場で優子にはっきりと告げる決心をした。 「優子、今まで隠していた美野月さんの事だけど。」 優子は真剣な表情で聞いている。 「実は昨日会社で彼女から告白された。」 「・・・・・。」 「そして今日僕は彼女の誘いをはっきりと断ったよ、僕には大切な優子がいるからね」 それを聞いてか優子はいっきに泣き出し、運転中の僕に抱きついて来た。 「俊夫〜っ、ごめんなさい!」 「うがぁ〜!、優子〜今運転中〜!」 思いのほか頭に激痛が走る、改めてその患部に手を触れるとさっき殴られた所からの出血が酷い。 車の中が暗い為か優子はまだ僕が怪我をしている事実を知らない様だ、そこで僕はこれ以上優子に心配かけまいと平然を装った。 優子は家を飛び出した経緯をここぞとばかり話し出した。 アンドロイドの自分を見劣りした優子は、人間の女性が相手では到底勝ち目は無いと思い込み僕の元を去った事。 行く当ても無く夜道を歩いて、恐くて心細かった事。 さっきの不良達に良い所に連れて行ってあげるからと、それを信じてバイクに乗せられ無理やりに暗い所へ連れて行かれた事。 そして何より僕があの場に突然現れて助けてくれた事が、今だに信じられないとの事であった。 あの場で助けに来てくれたのは嬉しかったが、正直僕が二人に負けてその後殺されてしまうのではないかと思ったそうだ。 (優子の目から見て今までの僕って一体?) ここでハンドルを握る僕の手に痺れが出て来た、そしてそれから間もなく意識も薄れ始め僕は運転に集中する事が難しくなって来た。 「どうしたの俊夫?」 何か異変を感じたのか優子は僕に質問をする、僕は勘付かれない様にここで精一杯平然を装い「大丈夫だよ♪」と明るく振舞った。 正直僕の頭部は血糊でベットリ汚れていた、山沿いの国道から都会へと抜けると夜だと言うのに異常に明るかった。 「どうしたの俊夫!?、頭から血が出てるよ!!」 とうとう優子に気付かれてしまった、しかし今の僕には冗談を言う程の体力も残されていなかった。 「俊夫〜っ、しっかりして!!」 意識の薄れる中でどうにかコンビニの駐車場に車を停めると、僕は強い眠気に襲われた。 優子の泣き叫ぶ声が聞こえるが、その声も次第に遠のいて行く。 続く
|
|