【37】 時間はもう深夜に近づいている、若本さんの情報によると優子の居場所は国道沿いを歩いているとの事から凡そ察しがつく。 どうやら初め僕は優子の向かった先とは全く逆方向を探していた様だ、通りで見つからない訳である。 車を走らせてから30分程で優子が歩いていると思われる国道へと乗る事が出来た、この道沿いを真っ直ぐ車で走って行けば多分優子が見つかる筈だ。 僕は優子を見失わない様にとここは慎重に車を走らせた。 ここは山沿いに面した道の為に只管に一本道が続いている、国道だと言うのに道幅は狭く人通りも少ない。 そんな場所だから女性が夜道を歩いている事などまず無いので、優子がいればすぐに気付く筈なんだが。 そこで僕はもう一度若本さんに携帯電話で、優子の居場所を確認する事にした。 すると若本さんはまた早急に調べてくれた、優子はこの国道沿いのずっと先にいるとの事であった。 しかし僕のいる地点から更に先にいるらしく、何か乗り物に乗って移動しているとの事であった。 そこで僕は車のスピードを加速し、優子の後を追った。 暫くすると若本さんより優子の居場所を突き止めたとの連絡が入り、僕はそこに向けて車を走らせた。 若本さんの話によれば優子はこの辺にいると言う、前方を確認すると路肩にバイクが2台停まっている。 僕はそのバイクを不審に思い路肩に車を停めて、そこから歩いて慎重に辺りを見回す事にした。 「キャ!!」 一瞬叫び声にも似た様な声が道から外れた闇の中から聞こえて来た、それが何だったのかを確かめる為に僕は勇気を振り絞り声の聞こえた闇の方へと向かった。 「イヤ!、助けて俊夫!!」 (!?) 今確かに僕の名を叫ぶ声が聞こえた、僕は無我夢中で声の聞こえた方へと走った。 すると闇の中から人のいる気配とともに、男の声が聞こえてきた。 「いいじゃないかよ、おとなしくしろよ!」 暗闇の中で2人の若い男性に一人の女性が押さえ込まれているのが分かった、そしてその女性は紛れも無く優子であることも。 「優子〜!!」 僕は大声で優子の名を叫んだ、男達二人も僕の存在に気付いてか慌てて路上へと飛び出した。 「俊夫?」 服を脱がされかけた状態で暗闇の中から優子が現れた、片方の足にはスリッパを履いていた。 優子はスリッパ姿のまま、こんな夜道を一人歩いていたと言うのか? 「何だよあんたは?」 先程の男二人が僕に向かって絡んで来た、良く見ればまだ二十歳にも満たない少年達である。 その内の一人は片手に鋭利な刃物らしき物を持っている、そこで僕は話の通じる相手では無い事を直感で悟り、二人に向かって一括した。 「警察だ!!」 初め少年達二人は僕のその言葉にかなり動揺した様であったが、それから間もなく僕と優子以外は誰も居ない事に彼らは気付いてしまった。 「どこに警察がいるって?、それともあんたが警察だとでも言うのかよ!」 それから二人の少年は僕の方へとゆっくり近寄って来た。 ハッタリが通用しなかった今、僕に残された術は逃げるか戦うかの二つの選択しか残されてはいなかった。 続く
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