【34】 「だから僕は美野月さんとは会社の中での仲間としか思っていないんだよ、彼女は何か勘違いしているみたいだけど・・。」 優子は襖の向こうでまだ僕の事を疑っているのか、何の返事も無い。 何故優子が美野月さんの事を知っているのか? 確かに僕は美野月さんから愛の告白を受けた、しかし僕の想いは変わらず優子を愛している。 そしてその事は美野月さん自身も知っている筈だ。 優子が部屋に閉じこもってしまってから暫くが経つ、はたして僕の話を聞いてくれているのだろうか? 「優子、入るよ」 部屋の向こうにいる優子に断りを入れ、恐る恐る襖を開けた。 「優子!?・・・・・。」 (優子が居ない!?) 何処かに隠れているのではないかと、部屋の隅々まで調べたはみたものの優子はそこには居なかった。 (何処に行ったのだろう?・・確かにこの部屋に優子は居た筈だが?) 何だかトイちゃんの様子がおかしい、しきりに窓の方を向いてそちらに行きたがっている様であった。 (もしや優子はここから出たんじゃ!?・・・。) 優子がこの家に居ない事に僕は初めて気が付いた、我ながら自分のあまりの間抜けさに全身に脱力感が襲う。 (じゃあ優子は何処に!?・・優子を探さないと!) 僕は外に出る支度をしていると電話機下の床に一枚の紙が落ちてある、そしてそこにあったのは今日美野月さんから貰った電話番号の記した紙であった。 (優子はこれを見て!?・・・。) その紙をポケットにしまうと、僕は慌てて外へと飛び出した。 (まだ優子はそれ程遠くへは行っていない筈だ・・) 早速僕は車を走らせ暗闇の中、優子を探し回った。 時間はもう夜の10時過ぎ、こんな時間に一人女性が道を歩いている事はまずない筈だ。 車を走らせてから凡そ30分が経過していたが、僕の前に優子は姿を現さなかった。 優子の行く当てが全く解らずに困っていた僕は、美野月さんなら何か優子の事を知っているのではないかと先程ポケットにしまった紙を取り出し、早速携帯で彼女の電話に掛けてみる事にした。 「はい、美野月です」 「夜分遅くにごめんね、鈴木 俊夫です。」 「俊夫さん!?」 僕は優子が部屋を飛び出してしまった経緯を美野月さんに告げ、何か優子の手がかりが掴めないものかと聞いてみたが彼女も全く解らないとの事であった。 美野月さんからの話では優子から突然の電話が掛かって来て、美野月さんと僕との関係について優子に色々と質問を受け「何か誤解をされた様でした・・」と答えた。 すると美野月さんは「今回の事は全部自分が悪いんです!」と泣き出してしまった。 今回の事に関しては美野月さんが悪いのでは無く、全部自分の不注意が原因である、僕はそんな自分を責めて泣いている彼女に全ては僕に非があった事を彼女に告げた。 すると美野月さんは「せめて優子さん探しに協力させて下さい!」と僕に頼み込んできた。 こんな夜遅くに彼女を巻き込む訳にはいかないと僕は一度は断ったが、彼女の押しにはどうにも逆らえない僕は緊急時と言う事あり一緒に優子を探して貰う事にした。 もしかしたら優子が家に戻っている事の可能性も考え、僕は美野月さんに家の住所を教えそこを待ち合わせ場所とする事にした。 続く・・・
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