【33】 「お帰りなさ〜い俊夫、いつも遅くまでお勤めご苦労様♪」 最近の俊夫はいつもと少し様子がおかしい・・、会社の帰りが遅いのと何か関係があるのかしら? そしてもう一つ気になるのが俊夫から僅かに匂う香水の香り・・。 でも私は俊夫の事を信じている、どんな時にも必ず私の事を気遣ってくれる俊夫。 誰よりも私の事を愛してくれる俊夫、私自身俊夫無しでは生きていけない・・。 この感情を教えてくれたのも俊夫、私みたいなロボットに本気で好きになってくれた。 だから私も俊夫のその思いに応えたい、でも俊夫の事を信じれば信じる程にだんだん恐くなっていくのは何故!? 昨日から俊夫は私の顔をあまり見てくれなくなった気がする、何かを隠している様に思えるのは気の性?・・。 「優子〜、先にお風呂入るよ〜!」 俊夫は今お風呂に入っている、その間私はいつもの様に俊夫の着替えを用意していると床に四つ折にされた一枚の紙きれが落ちていた。 何かが書いてある、私はその紙を拾い開いて見た。 『美野月 若菜』090−××××−×××× (何これ!!?・・・・・・・・・。) 女性の名前が紙に記されている、そしてその後に書かれていたものは明らかにその人の電話番号である事はすぐに解った。 私はその人の事が気になり、俊夫とはどんな関係なのか早速電話をしてみる事にした。 「はい、美野月ですが・・。」 電話の声でその人が女性だと言う事は私でもすぐに気付いた。 「あの〜私・・俊夫の所にいます、優子と申します・・。」 「え!!・・優子さんって俊夫さんが話していた、アンドロイドの人!?・・・。」 (なんでこの人、私がアンドロイドだって事まで知っているの!!?) 「はい、確かにアンドロイドですが・・、あなたはどちら様ですか?」 「驚いた〜!本当にアンドロイドだ何て!・・・、私?・・俊夫さんの彼女に立候補した『美野月 若菜』って言います♪」 (俊夫の彼女!!?・・・・・・・・・・・。) 「でも俊夫はアンドロイドの私を真剣に愛してくれているんですよ!」 「優子さんは解っているのですか、あなたは人間に似せたロボットなんですよ!・・ロボットが人を愛するって変じゃないですか? 私はまだ俊夫さんの事を諦めていません!後でそちらに直接お伺いさせて頂きますのでご了承下さい・・。」 そのまま電話は切れてしまった。 俊夫が私に隠していたのは、こう言う事だったから・・・。 悲しい気持ちと一緒に涙が込み上げて来た。 俊夫は私一人を愛してくれていたんじゃなかったの!?・・やっぱり私がロボットだから・・・。 「やあ優子〜! 今お風呂上がったからさ、次優子の番だよ〜♪」 頭をタオルで拭いて、何事も知らずにお風呂から出てくる俊夫がいる。 「ねえ俊夫・・美野月さんって人知っている?・・」 「!!?・・・・・・・・・・・・。」 俊夫、もの凄く驚いている・・・。 「良いの気にしないで俊夫・・、私全部知っているから・・・。」 「誤解だよ優子!、僕が愛しているのは優子だけさ!!」 「ううん良いの・・、ちょっとだけ一人にさせて貰って良いかな〜?」 「優子!・・・・・・・・・・・・・・。」 そう言うと私はトイちゃんのいる寝室へと足を運んだ。 「ねえトイちゃん、私・・俊夫にフラれちゃった・・・。 これから私どうしたら良いと思う?・・・。」 トイちゃんは私の潤んだ瞳を見つめながら、精一杯背伸びをして私の思いに応えてくれた。 (今の私、もう居場所が無い・・。) 私はトイちゃんに別れを告げると、そのまま窓から表の外へと飛び出した。 「優子〜!話があるんだ、そのままでいいから僕の話を聞いてくれないか!?」 家の中から俊夫の声が聞こえる・・。 でも俊夫の為にも、もう私はこの家にいちゃいけないんだ・・。 これから私、どこに行こう?・・・。 続く・・・
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