【32】 次の日も僕が仕事に追われ残業をしていると、美野月さんはいつもの様に僕の元へと現れた。 僕には優子がいる事実を今日ははっきり告げようと僕は彼女に声を掛けた、すると彼女は昨日の発言に対して「すいません・・」と先に謝って来た。 とりあえず僕はいつもの様に彼女の話をじっくり聞いてみる事にした。 「昨日はスイマセンでした、でも私の気持ちは昨日話した通りなんです・・。 今日の私は逃げません!・・鈴木さんの正直な気持ちを私に聞かせて下さい!」 彼女は物怖じもせず堂々とした様子であった、その勇ましさに正直僕は圧倒されてしまった。 僕の一番悪い癖でもある優柔不断な感情が、この土壇場になってまた出て来てしまった。 30年間生きて来た中でこれ程の旨い話はあっただろうか?いや無い・・。 それどころか今まで何をやっても女性とは決して縁の無かった僕が、今こうして若くて綺麗な人に愛の告白を受けている。 初めて優子が家に来た時の僕は正直優子には申し訳ないが、妻が出来るまでの繋ぎ位にしか考えてはいなかった。 しかし今の僕には優子無しの生活なんて考えられない、実際問題認めたくはないが優子はアンドロイドである。 アンドロイドの優子と人間の僕が一生を共に過ごすと言うのは、これからも数々の試練がある事だろう・・。 しかしあくまでも僕はその容姿に囚われるのでは無く、優子の気持ちから愛している。 美野月さんは逃げも隠れもせずにこんな僕に対して面と向かって僕に告白をしてくれた。 もし優子に出会う前の僕なら間違えなく美野月さんの申し出を受けていた事だろう、しかし今の僕には心から愛している優子がいる。 ここで僕は愛している人がいると言う事実を彼女に告げた、そして真剣に告白する彼女に対し僕の愛している人が実はアンドロイドだと言う事も含めてそれも打ち明けた。 僕は誠心誠意で答えたつもりではあったが、美野月さんはその僕の発言に対し怒りを表にして泣き出してしまった。 そんな嘘をついてまで私と付き合いたくないのか、もしくは私をカラかっているの?・・と言うのである。 僕はその事実を証明する為彼女に、携帯カメラに写っている優子の写真を彼女に見せた。 しかし彼女はその写真を見てもまだ優子がアンドロイドだと言う事実を信用出来ない様であった。 そこで僕も少しムキになり、彼女に以前のロボ姿の優子の写真も見せてしまった。 これには彼女も流石に驚いた様子で暫くは呆然とその写真を見つめていた、しかしその後彼女は笑みを浮かべて僕に質問をして来た。 一つは、結婚はどうするのか? 二つ目に、子供はどうするのか? 三つ目に、人間の事が嫌いなのか? それに比べて私なら結婚も出来るし、子供も産めると強気の姿勢を崩さない。 僕はそんな彼女の気持ちにまたもや圧倒されてしまった。 美野月さんは「私はまだ俊夫さんの事を諦めた訳じゃありません!・・」とだけ話し、自分の携帯番号をメモ紙に記すとそれを僕に黙って渡し 「失礼します!」と帰って行った。 彼女が去って行った後の香水の残り香は、最後まで僕の心を誘惑した。 続く・・・
|
|