【3】 あれから一週間が過ぎ、優子も大分僕との会話に慣れてきたようだ。 しかし僕の質問に対し返答に時間がかかり過ぎる事はしばしば。 解らない事になると、『カイセキフノウ』と言う人間味の欠片もない言葉が返ってくる。 そしてその度に【人間】対【ロボット】と言う現実に引き戻される気分がする。 僕は人間の妻が欲しいのであって、ロボットが欲しいわけじゃない。 主従の関係を築きたい訳でもないのに、彼女は僕に対し「ダンナサマ」と呼ぶ。 僕の初めの言い回しが悪かったのだろう、そこは訂正して「トシオ」と呼ばせる事に成功した。 普段平日はもちろん仕事に出なくてはならないので、日本の文化に馴染んでもらうように僕が帰るまでの間は優子にはテレビ観賞をしてもらっている。 その情報の上達ぶりは流石にロボット、一度聞いただけで丸暗記である。 その覚えた言葉の使い分けは自分なりに分析して使っているのだろう、ただ間違いも多々あるのは仕方がないか・・・。 この前は自宅に帰って来るや否や、 「トシオ オカエリナサイ オシゴトゴクロウサマ サキニ オショクジニスル? ソレトモ オフロニスル? ・・・ソレトモ ア・タ・シ?」 どこで覚えたのかこんな台詞・・ 【料理・家事】はまだしもエッチは出来ないだろうに・・・。 こんな出迎え方をされ嬉しい反面、何も出来ない虚しさと切なさを余計に感じる。 そんな思いから家事が出来る位にはしたい。 何より第一に料理! 僕は料理とは何たるかを徹底的に教え、彼女に作らせてみる事にした。 そして待ちに待った妻の手料理が運ばれて来た。 ロボットの妻を迎えてしかもその手料理が頂けるとは以前の僕には夢にも思わないであろう。 「オマタセ シマシタ デハ サメナイウチニ ドウゾメシアガレ」 彼女が作ってくれたのは日本人には欠かせない【味噌汁】一品である。 こんなシチュエーションを僕はどれ程待ちわびた事か・・・。 目に涙が溢れこぼれ落ち、頬につたわっていく。 「優子、有難う!!いただきま〜す!!」 僕は元気な掛け声と共に味噌汁を啜った。 ・・・・・ 優子の作ってくれた【ソレ】は磯の臭いのするワカメと 悲しくも微量の混合油臭さを合わせ持つ 今までに味わった事のない不思議な世界観を醸し出すのであった。 続く・・・
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