【26】 8月ともなると流石に暑く洗濯物の量も半端ではない、僕の身に着けているパンツまでも毎日優子に洗ってもらっている。 今ではすっかり優子無しではいられない位に家の家事全般を僕は優子に頼りきっていた。 そんな優子のお陰で最近の僕は仕事にも意欲的になり、それなりの成果も出せる様になってきた。 職場の者達には「以前とは別人の様だ」とまで言われる様になった。 人生変われば変わるものだ、以前の僕の生活と今の生活では180度違う生活スタイルを送っている。 何よりも以前の僕では人生がこうも楽しいものだとは夢にも思わなかった。 もう僕の頭の中には優子の存在は完全にロボットと言う概念はなく、無くてはならない人生のパートナーであった。 「お帰り俊夫ぉ〜?、お夕飯の支度出来てるよ〜♪」 僕は仕事から帰宅すると優子はいつもの様に僕を温かく玄関まで迎えてくれた。 「優子、実はちょっと着て貰いたいものがあるんだけどいいかな?」 そう言うと僕はカバンから【ゆかた】を取り出し優子に見せた。 「どうしたのこれ、可愛い〜!?」 「仕事帰りの途中で買ってきたんだよ、明日優子と一緒にお祭りに行こうと思ってね♪」 優子はゆかたを受け取るとよっぽど気に入ったのか、早速ゆかたを着ようと鏡の前へと向かって行った。 僕は優子が作ってテーブルの上に用意して置いてくれた夕飯の手作りハンバーグを食べていると、ゆかた姿の可愛らしい優子が僕の前へとやって来た。 「どう俊夫ぉ〜、似合うかな〜?」 そう言うと優子は僕の前でゆかた姿を披露した、本当に優子は何着ても良く似合う。 僕の選んだゆかたに間違えは無かった、ピンクの花柄で優子の可愛さがより一層引き立った。 あまりの優子の可愛さに見惚れていると僕は箸で摘まんでいたハンバーグを皿の上に落とした。 「優子、凄く可愛いよ!」 優子の可愛さは天下一である。 「俊夫有難う!優子嬉しい?、トイちゃんにも見せて来るね〜♪」 優子の姿が次第に人間らしくなってきている、後はこれで優子と結婚さえ出来れば文句は無いのだが・・。 一夜明けて僕達は地元のお祭りに足を運んだ、路上には屋台が建ち並び大勢の人が祭りを楽しんでいる様であった。 「うわ〜、人がいっぱいいるね〜!楽しそうだね〜♪」 優子は初めて見る賑やかなお祭りの様子に心から楽しんでいる様であった。 丁度そこへ向こうから祭りの半被を着た男連中が御神輿を担いで威勢の良い掛け声とともにやってきた。 「わっしょい!! わっしょい!! わっしょい!! わっしょい!!」 「やだ〜楽しそう〜! 優子もやってみた〜い?!!」 優子は僕の方を目をウルウルさせながら見つめる、そうは言ってもこればかりは優子には似合わないから僕はそれを止めさせた。 「俊夫のケチ・・ぶつぶつ・・・・。 ・・・!?」 それに対し優子は膨れっ面をしていたが、またすぐに別のものに興味を持った様であった。 そんな時の優子は目の色が変わり不敵な笑みまで浮かべている、こんな時の優子は大概ろくな事を考えていない・・。 「ねえ俊夫ぉ〜!アレがやってみたいの、お・ね・が・い・?」 優子がやってみたいと言うのはどうやら向かいにある射的の様だ、どこで覚えたのか今度は色仕掛けで頼んできた。 そこで僕は優子にお小遣いを渡し、遊ばせてみる事にした。 「はい、いらっしゃい!お譲ちゃん可愛いね〜! おじちゃんの彼女になってよ!♪」 屋台のおじさんからややセクハラ染みてはあるが、やり方を教わると早速優子は射的を始めた。 コルクの玉が全部で3発、台の上に置いてある商品を見事打ち倒せばその商品が貰えると言うゲームである。 優子の狙いはパンダのぬいぐるみの様だ。 一発目、商品にはかすりもせず玉は方向違いの所に飛んで行った。 「あ〜ん?、もう!」 僕はその様子を見てニヤけていると、優子はムキになり商品に届く様に更に身を乗り出した。 二発目、ぬいぐるみに玉がかすめるもパンダのぬいぐるみは微動だもしなかった。 「惜しい!」 そんな優子の真剣な様子を見ている内に自然と僕まで力が入っていた、優子は三発目に全てを懸ける思いで気合充分である。 三発目、パンダのぬいぐるみにしっかり命中したがやや後ろにズレただけで落ちはしなかった。 「・・・・・・・・・・・・」 商品が手に入りはしなかったものの改めて僕は優子の才能を確信した、優子は頭が良いと・・・。 優子の目には涙を浮かべている、そして屋台のおじさんの方を目を潤ませながら見ていると屋台のおじさんはちっちゃいブタのぬいぐるみを黙って優子に差し出した。 「こんな可愛い子に涙越しに見つめられちゃ〜おじちゃん弱っちゃうよ〜!お譲ちゃんこれ持って行きな〜♪」 「わ〜い!ブタさんのぬいぐるみだぁ〜♪・・ありがとおじちゃん?」 ベソをかきながら喜ぶ優子の姿におじさんは照れている、優子は策士かと思った今日この頃であった。 続く・・・
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