【17】 「さあ、トイちゃんはそろそろお休みの時間だよ〜」 僕はそう言って優子にトイちゃんを小屋の中へ入れる様に説得した。 「うん、またねトイちゃ〜ん♪」 優子はトイちゃんとお別れの挨拶を済ますと、優しく小屋の中へと入れてあげた。 トイちゃんもやけに素直である・・・。 (やっと優子に逢えたのに、このトイ助の奴め〜!) 何ヶ月も一緒に築き上げた優子の感情を初対面のコイツにいきなり奪われた気分であった。 「ねえ俊夫?さっき玄関の方から女性の声が聞こえたけど、知り合い?・・・。」 優子の方から意外な鋭い突っ込みを食らった僕は、変に緊張してしまった。 「知らない人だよ・・・ うん、そう!全く見覚えも無い人!新聞の勧誘だよ♪」 僕はNAZAからの訪問者を明らかにして優子に変に気を使わせない為にも、嘘をついた。 「その人・・綺麗な人だった?」 またまた鋭い突っ込みを食らった・・僕の額には嫌な汗が滲み滴り落ちる。 「綺麗!?・・・全〜然!ブス!・・凄いブスだよ!! ・・・もう見れたもんじゃないくらい!♪」 「そうなの?・・・」 優子は悩ましげに僕の顔を窺っている、僕はそんな優子の視線を避けないでいるのが精一杯であった。無理やり作った笑顔もぎこちない。 「良かった〜♪ ・・優子、俊夫にフラれちゃうのかと思ってドキドキしちゃった♪」 確かにさっき来ていた人は万人が認める程に綺麗な人であった事には違いない、嘘・誤魔化の下手な僕に対し優子が素直な子で良かったと今日程思った日は無い。 意外に鋭い考え持つ優子に、うかつに浮気は出来ないなと俊夫は思った。 「ねえ俊夫、ご飯食べた? 良かったら優子が料理作るよ〜♪」 時計を見るともう午後の六時・・確かにお腹も空いてきた、久しぶりの優子の手料理に僕は期待に胸が膨らんだ。 ここで僕は初めて一切手伝わずに献立から優子に全部任せてみる事にした。 それから暫くして優子は台所から鍋を持って来た、スパイシーな良い匂いを漂わせながら。 「有り合わせの物で作ったんだけど、どうかな〜?」 優子の作ってくれた物、それはとても美味しそうな【カレーライス】であった。 待ちに待った優子の手料理に僕はむさぼる勢いで優子の作ってくれたカレーライスを口に運んだ。 「!?・・・・・・・・・」 今日まで生きてきた中でこれ程美味しい食べ物に僕は出合った事が無い、しかも料理の下手だった優子にこれ程の物を作って貰えるとは・・・。 僕は優子の作ってくれたあまりのカレーの美味しさに言葉を失い、知らずの内に涙を流し食べていた。 「どう?美味しい俊夫?・・・。」 心配そうな顔で僕の方を見ている、それはあまりにも人間ぽく顔形も良過ぎて僕は照れから直視が出来なかった。 「死ぬ程・・・美味しいよ優子♪」 それを聞いて、優子の顔色が変わった。 「死んじゃ〜嫌!」 優子は涙目になって僕に抱きついて来た。 (このまま死んでも良いかも・・) 幸せを独り占めな俊夫であった。 続く・・・
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