【16】 突然僕の目の前に現れた可愛らしい女性、もしやと思い僕は声をかけた。 「もしかして優子かい?」 その女性はいきなり僕に駆け寄り抱きついて来た。 「逢いたかった、俊夫・・・。」 その目には涙を浮かべていた。 優子に訳を聞くと、早く僕に逢いたいが為に一人でここまで来たのだと言う。 僕は正直驚いた、優子が自分の意思で行動を起こしその上一人でここまで来れた事に。 まるで普通の人間の様に・・・。 姿だけに限らず、その行動までもが急激な成長を遂げた優子。 僕は優子の体を強く抱き締めた、すると優子の体は柔らかかった。 「俊夫、そんなに強く抱き締めたら苦しいよ♪」 その言葉に驚いた、強く抱き締めると苦しい?僕は試しに黙って優子の腕をつねってみた。 「痛〜い!・・俊夫何するの!?」 思った通り今の優子には痛覚がある、僕はすぐ様謝ると早速優子を部屋へと招き入れた。 部屋に入るとハムスターのトイちゃんが元気に水を飲んでいる。 「可愛い〜!・・この子どうしたの俊夫!?」 優子はハムスターを見るや否やすっかり虜になった様でトイちゃんに見入っている。 「今日ペット屋で見つけて来たハムスターで、名前はトイちゃんって言うんだ。」 優子は早速ハムスターのトイちゃんに話かけている。 「トイちゃんか〜、可愛いね♪ トイちゃ〜ん♪私優子、ヨロシクね?」 正直僕はトイちゃんには悪いけど、優子の方が断然可愛く思えた。 「ピ〜ンポ〜ン♪」 優子の可愛い姿に見とれていると、玄関のチャイムが鳴り響いた。 僕は優子にトイちゃんの面倒を見ている様にと話すと、玄関へと向かった。 玄関先で現れたのは、20代半ば位の見知らぬ長身の綺麗な女性であった。 「初めまして俊夫さんですね、私はNAZAの特殊調査員で 【狩野 冴子】と申します。」 「NAZAの方ですか!?・・・・。」 狩野冴子と名乗るその女性は僕にNAZAの一員である証明書を見せると、僕に名詞を渡し話を始めた。 「いきなりの訪問大変失礼いたします、実は今回優子さんには内緒で尾行をさせて頂きました。」 狩野さんの話ではNAZAで優子と出合ったあの日より、早くから優子は僕の下へと帰りたがっていた様である。 そしてある程度の検査が終了した段階で、先日自分の意思により家へ帰りたいと優子の方から訴えがあり、帰り方のプログラムを優子に入れて狩野さんは優子の安全確保の為に後を付いて来たとの事であった。 そして優子の話へと変わった。 優子の容姿は殆ど人間に似せて出来てあるが、中身はロボットの為に定期的なメンテナンスが必要との事から、 【一年に一度はNAZAで回収し、検査を受けてもらう】との事であった。 優子の身の安全の為にも必要な事と解釈し、僕は喜んでそれを承諾をした。 新たな優子の説明書を置いていくと、狩野さんはそのままNAZAへと帰っていった。 今の僕は何よりも早く優子の下にいたかった、僕は襖の向こうにいる優子の下へと向かった。 「あ〜トイちゃんったら、手の上にウンチした〜♪」 何と優子はトイちゃんをカゴから出してあげ、トイちゃんもそんな優子にもうなついている様であった。 「あ!俊夫ぉ〜、この子可〜愛いね?」 僕に全然なつきもしなかったトイちゃんがもう優子に!・・・。 優子とトイちゃんの関係に嫉妬心を燃やす俊夫であった。 続く・・・
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