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作品名:鉄の妻 作者:池野 蛙

第13回   第十三話
【13】
それからNAZAは約束通り、夕方に優子を回収して行った。
NAZAによると優子の修理には凡そ一ヶ月前後はかかってしまうとの事であった。
優子が生き返ると思えばとても嬉しい筈なのだが、今までずっと一緒だった優子が僕の側にいない事に僕の気持ちは次第に沈んでいった。
次の日通常通りに仕事へ出るがどうにも仕事に張り合いが持てず、簡単なミスさえも目立ってきた。
それから一週間が過ぎようとも僕は情けない事に気持ちが立ち直るどころか、優子が無事に帰って来るのかがとても気掛かりで毎日NAZAへ進行状況を確認する始末。
そんな僕の質問にNAZA側は丁寧に対応をしてくれた。
職場のみんなも僕を心配してか相談に乗ろうと声を掛けてくれる、しかしこんな自分勝手な言い分を誰に打ち明けられよう・・・。
僕は日々最低限の仕事のみをこなし、優子に逢いたいと言う気持ちから早く一日が過ぎるのだけを待った。
優子が搬送されてから凡そ3週間が過ぎた頃、NAZAの方から一通の電話が入った。
今現在試作の段階ではあるが人工的な皮膚を優子に付けてみないか?との事であった。
以前僕は優子を海へ連れて行き、それが原因で優子を壊してしまった。
しかしこの人工皮膚を優子の体全体に貼る事で優子に防水加工を施し更には、より人間に近ずく事が出来るとの事であった。
僕は人間の姿になった優子を想像し、すぐに承諾した。
そしてここでNAZAより今現在の優子の進行状況を確認させる為に直接NAZAジャパン支部へ来る様にと僕は招待された。
僕は会社の連休を利用し、NAZAジャパン支部のある沖縄へ向かう事にした。
飛行機で沖縄空港へ着陸し、それからタクシーに乗って一時間位の所にそこはあった。
流石に世界のNAZAである、いくらジャパン支部と言えどその広さは絶大であった。
僕は早速事務所の受付の人に話すと男性の係員を呼んでくれた、そしてその人はすぐに現れた。
早速その人から名詞を受け取り簡単な挨拶を済ませると、すぐに研究所内を案内してくれた。

名詞
【NAZAジャパン第10研究所 ロボット科学研究班 班長「若本 則之」】

若本さんはロボットに関するエキスパートと言った感じの身形をしており、歳は40前後 見た目は完全に科学者で、やはりソレっぽい眼鏡もかけている。
どうやらこの人が普段電話に出てくれる人で、僕をここへ招待してくれてた人らしい。
僕は若本さんの案内でエレベーターに乗り地下10階で止まった、そしてそこで人工的なロボの研究や開発が行われていた。
ここで若本さんより説明を受ける。
「ここでは人型ロボの研究開発を中心に行われています、今現在主に開発しているのが人の変わりに仕事をこなす事が出来るロボットの生産をしています。」
驚く事に研究所内の作業員達の殆どが皆ロボットで出来ている、僕は作業している彼らに感情があるのかを聞いてみた。
すると若本さんの話ではここには感情を持つロボットは全く存在しないとの事であった。
床がガラス板になっており下が透けてみえる、工場内を見るとロボがロボを作り出し、そしてそれを支持しているのもロボであった。
何とも不思議な光景に僕は我も忘れて見入ってしまっていた。
それから若本さんに連れられ研究所内の奥へと進んで行くと、コンピューターが何台も設置してある部屋へと案内された。
ここでまた若本さんより説明が入る。
「この部屋は本拠地であるアメリカのNAZAへと情報を交換するコンピュータールームです。
ここであなたのマースより電送された情報を受け取り、そしてアメリカにあるマザーコンピューターへ更に電送される仕組みとなっています。」
若本さんの話ではマースは日本中全部を合わせても実験段階な為、まだ5台しか無いとの事であった。
そしてここで若本さんは話を本題に切り替えた。
「実はですね、あなた様のマースの事でなんですが・・・」
僕は緊張からか肩に力が入る。
「マースの内蔵コンピューターが大部分を浸水の為に破損していたにも関わらず、あなたの情報だけは殆どが残っていた様です。」
若本さんの話によると優子は浸水時にプログラムの破損を間逃れる為、自主的に残存機能の残っている部分にそのプログラムを移したとの事であった。
そしてここで、コンピューター室の奥より誰かが僕の元にかけよって来た。
「トシオ〜〜!♪」
その姿は紛れも無く優子の姿であった。
続く・・・


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