【11】 「優子!!」 必死に声を掛けるが何の返事も無い、僕の悪い予感は的中した。 やはり、海で直接海水を浴びたのが原因なのか? 以前は確かバッテリーの充電不足で優子は動かなくなった、ならばと思い僕は優子の上着を捲くってお腹のパソコン部分を開いた。 しかし今回はパソコンの液晶画面には何の表示もされていない、以前は赤い文字で警告メッセージが出ていたのに・・・。 とりあえず僕は優子を担いで、一端家へ戻る事にした。 僕は優子をベッドに寝かせると、着ていた衣類を全部脱がせ優子の体を隅々まで調べた。 海で見た時と同じで何処も外傷は無く、見た目は以前のままである。 僕には優子を生き返らせる術がなかった、自分の無力さに成す術も無く只々祈るのみであった。 しかしそんな僕の願いなど通じる筈も無く、何の変化もない優子が僕の目の前で横たわっている。 動かなくなってしまった優子を見て僕は泣いた、そして海での出来事の数々が頭の中を過ぎる。 「何で僕はあの時すぐに優子を助け出さなかったのだろう?・・・あの時にあ〜していれば今頃優子は・・・。」 後悔の念だけが募っていった、そして只管に自分を責めた。 それからと言うもの俊夫は優子の前で泣き崩れるばかりであった。 どの位の時間が過ぎたのであろう、俊夫はおもむろに立ち上がりそして、優子の入っていた箱から説明書を取り出した。 早速俊夫は説明書の目次欄より検索をかけて、優子の動かなくなった原因を調べる事にした。 そして説明書の注意欄を発見し、次の様な記載事項を見つけた。
注意その8】 本製品マースは防水加工を外面以外は一切施されてはおりませんので、充分に注意して下さい。
「防水加工はされていない!?・・・。」 僕は愕然とした、よりにもよって優子がもっとも苦手とする場所に僕は優子を連れ出してしまった。 更に後悔の念に駆られる。 「何か優子を生き返らせる方法はないのか!?」 説明書の注意事項欄の先を見ると様々な記載がしてあった、俊夫はとりあえずそれを一つ一つ始めてみる事にした。
注意その125】 故障かな?と思ったら @再度電源を入れる。 A再度充電をする。
僕は早速説明書通りに、実行してみた。 まずは電源スイッチに手を掛ける、僕は祈る様な気持ちで優子の胸に手を掛け優子の電源スイッチを押した。 「カチッ!・・・」 スイッチを押した音はするが優子には何ら変化はない、駄目だった・・・僕は諦めず次の行動に移した。 僕は優子のお腹の部分からコードを引き充電を試みた、すると優子のお腹の部分の液晶画面が明るく移った。 「やったか!?」 優子のお腹の液晶画面には何か文字が映し出されていた。
「トシオ スキ ワタシノ トシオ デモ ワタシ ドウナルンダロウ? トシオ ワスレタクナイ コワイ・・・」
それから少し経つとまた画面は暗くなってしまった。 「?!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 僕の思いも虚しく、優子は動かなかった。 優子は僕を憎んでおらず、むしろ最後までこんな僕を愛してくれていた・・・。 すでに涸れかけた涙がまた込み上げて、僕の頬に流れた。 「何故優子は僕を憎んでくれないんだー!! こんな僕なんかの為に優子は・・・・・・。」 暫くして僕は涙を止めた、それは何としても優子を生き返させるんだと言う強い【愛情】と【想い】が今の僕に勇気を与えたからである。 仮にも認めたくはないが優子はロボットである、ならば必ず直す術がある筈だ。 その強い信念を胸に俊夫は立ち上がるのであった。 続く・・・
|
|