「浦和競馬」
都心から30分少々の住宅地の中
場違いに思える場所にそれはある
平成の世が終わりそうな時代に
昭和が薫る大人だけの遊園地
南浦和駅を降りた僕に
ナビなんて必要ない
先達たちの後を追えば
既に浦和競馬場の中
敷地が広すぎないのがいい
老舗の食堂ばかりなのもいい
顔見知りでなくても
今だけは僕も顔見知り
「7垂れろ!」
隣のおじさんが叫ぶ!
輪唱のように僕も叫ぶ!
「7垂れろ!」
でも、7番の馬は粘った
「あ〜あ、7粘っちゃったよ……」
「残っちゃいましたね」
瞬間的な、奇妙な連帯感
でも、それもまた臨場感
勝つは一時、負けも一時
都合良く忘れるんだよ
もつ煮込み、アジフライ
きゅうりの味は忘れない
2017年12月24日作
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