『半熟偽善者』
バスの中で立っているお年寄がいたら
僕は一声かけて、席を譲るだろう
お年寄は「ありがとう」の一言
その一言でささいな満足感
イイ人なんかじゃない
イイ人だと想われたい
イイ人だと想い込みたい
ただ、それだけのこと
間に入りたそうな車を見かけた
僕は車を止めて、譲ってみたけれど
相手の車は当然かのように走り去った
僕はそれを見て、イライラが募る
もちろんワルイ人なんかじゃないよ
でも、イイ人だと想い込みたいのに
それじゃイイ人と想い込めないだろう
ただ、それだけのこと
僕の偽善を持ち逃げしないで
偽善でいいから返してくれよ
世の中はGive&Takeだろう
社会の潤滑剤を減らすなよ
自分の身を犠牲にしてでも
他人を助けたいと思うなら
それがきっと善意なのかもしれない
つまらぬ僕にはそんな気持ちはない
でも、自分が足し引きゼロで
それであなたが+になれるなら
助けてあげたいとは思うんだ
打算的かな?利己主義かな?
それよりちょっとはマシだろう
幸福と不幸を電卓ではじき
ささいなことで幸せになり
ささいなことで憤慨する
そんな僕は半熟偽善者
聖人君子にはなれそうもない
2010年12月16日作 2015年11月10日加筆修正
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