『天国への階段』 街を歩いていたら、長蛇の列を見かけた。何の列か気になったので、並んでいる人にたずねてみると、列の先の建物には「天国への階段」があるらしい。「早く順番になるといいですね」そう言って僕は列から離れる。
「天国」があるかどうかを神ならぬ僕は知らない。詐欺だと断じるつもりもない。でも、誰かの用意した天国が、誰もが望む天国とは思えないし、少なくとも天邪鬼な僕にとっての天国ではありえない。
街を後にして、僕は歩を進める。目的地は僕の中に既にあるから、「天国」なんていらない。たどりつけるかなんて分からないし、たとえ、たどりつけなくてもかまわない。道を決めたのは僕自身だと胸を張って言えるのなら。
2016年1月19日作
【あとがき】 最近の新聞で、競馬予想詐欺の記事を見ました。大事なものを他人任せにした時点で、既に負けているんじゃないのかなと思う次第です。「天は自ら助くる者を助く(Heaven helps those who help themselves.)」という格言もアタマを過ぎりました。
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