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作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第84回   『バトンリレー』
『バトンリレー』

生まれながらに用意された専用レーン

生まれながらに握っているバトン

スタート地点は人それぞれ違っていて

うらやんだりしたこともあったけれども

自分は自分、人は人と割り切れば気楽になれた



時には誰かと並走することもあって

そんなときは自然と心が弾んでしまう

手を取り合って走ってみたりもできるんだ

ずっと並んで走っていたいと願っていても

方向やスピードが次第にずれて、いつかは離ればなれ



それでも僕らは前へと駆け出していく

抗えない時間の流れだけではなくて

いつかの僕が泣きながらバトンを渡してくれたから

未来の僕が笑顔でバトンが届くのを待っているから

そんな顔を思い浮かべれば、自然と脚は前へ出る



自分の、自分による、自分のためのレースだけれど

昨日の自分よりも少しでも前に進めたなら

明日の自分がもっと前に飛べたなら

思いもよらずに、どこかの誰かの励みになったりする

それは僕らも別のレーンの誰かに励まされているから



いつかどこかで、誰もがゴールテープを切られる

望んだ地点だろうが、夢見た場所への途上だろうが

そのとき、自分自身がバトンへと生まれ変わる

そのバトンが皆の握っている一つ一つのバトンなんだ



父から僕へ

母から僕へ

昨日から今日へ

今日から明日へ

僕から君へ



2011年8月15日作
2015年1月26日大幅加筆修正
2015年2月8日ラジオNIKKEI「私の書いたポエム」放送分


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