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作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第76回   『最高の馬』

『最高の馬』

忘れられない馬がいる

ロケットスタートから

後続を大きく突き放して

そのまま楽々と逃げ切る

そんな走りに魅了された



1998年11月1日のメインレース

1番人気に推された1枠1番のその馬は

3コーナーまで独走で、圧勝を思わせたが

栄光のゴールへたどり着くことはなかった

騎手をかばうようにコースアウトしながら



競馬場でも、南武線の中でも、帰宅しても

胸はカラッポのまま、ただ呆然としていた

翌日のスポーツ紙の見出しが

確か「天国への逃走」だった

涙があふれて止まらなかった



「最速」の馬ではないかもしれない

「最強」の馬でもないかもしれない

でも、僕の中では今だって「最高」で

競馬場に行くたびに探してしまうんだ

いるはずのない彼の面影を……


2014年10月22日作
2014年10月26日ラジオNIKKEI「私の書いたポエム」放送分


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