『最高の馬』
忘れられない馬がいる
ロケットスタートから
後続を大きく突き放して
そのまま楽々と逃げ切る
そんな走りに魅了された
1998年11月1日のメインレース
1番人気に推された1枠1番のその馬は
3コーナーまで独走で、圧勝を思わせたが
栄光のゴールへたどり着くことはなかった
騎手をかばうようにコースアウトしながら
競馬場でも、南武線の中でも、帰宅しても
胸はカラッポのまま、ただ呆然としていた
翌日のスポーツ紙の見出しが
確か「天国への逃走」だった
涙があふれて止まらなかった
「最速」の馬ではないかもしれない
「最強」の馬でもないかもしれない
でも、僕の中では今だって「最高」で
競馬場に行くたびに探してしまうんだ
いるはずのない彼の面影を……
2014年10月22日作 2014年10月26日ラジオNIKKEI「私の書いたポエム」放送分
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