『エキサイティング』
技術の進歩はすごいもので
スマートフォンひとつあれば
馬券は買える、レースも見れる
便利さに十二分に浸りながらも
その便利さは僕から熱を奪っていく
破きたくなるハズレ馬券がない
握り締めたい小銭やお札がない
レースを見つめる同志がいない
発走が迫るにつれた高ぶりもなく
手に汗にぎることも少なくなった
馬券売り場の前の長い列が
見知らぬオヤジの怒鳴り声が
財布の中いっぱいのハズレ馬券が
直接、目の当たりにするすべてが
僕を熱くさせるひとつひとつの要素
馬券の当たり外れは副産物
求めているのは臨場感と熱気
だから数百キロ離れた競馬場へ
年に数度、僕は足を運ばせる
たとえお金や時間がかかっても
ネット銀行の残高の増減よりも
「臨場感」を胸に焼き付けたい
2014年9月22日作 2014年9月28日ラジオNIKKEI「私の書いたポエム」放送分
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