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作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第74回   『エキサイティング』
『エキサイティング』

技術の進歩はすごいもので

スマートフォンひとつあれば

馬券は買える、レースも見れる

便利さに十二分に浸りながらも

その便利さは僕から熱を奪っていく



破きたくなるハズレ馬券がない

握り締めたい小銭やお札がない

レースを見つめる同志がいない

発走が迫るにつれた高ぶりもなく

手に汗にぎることも少なくなった



馬券売り場の前の長い列が

見知らぬオヤジの怒鳴り声が

財布の中いっぱいのハズレ馬券が

直接、目の当たりにするすべてが

僕を熱くさせるひとつひとつの要素



馬券の当たり外れは副産物

求めているのは臨場感と熱気

だから数百キロ離れた競馬場へ

年に数度、僕は足を運ばせる

たとえお金や時間がかかっても



ネット銀行の残高の増減よりも

「臨場感」を胸に焼き付けたい



2014年9月22日作
2014年9月28日ラジオNIKKEI「私の書いたポエム」放送分


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