20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第60回   『トンネルのお宝』
『トンネルのお宝』

出口の見えないトンネルを

ずっと歩き続けていたとき

トンネルを抜けた先に、

そこへ入る前のような

元通りの風景を期待していた



長い長い年月の末に

ようやくトンネルを抜けると

目に映るのは紅葉に落葉

入る前は桜が満開だったのに……

とっくに夏は終わっていた



得るべきものを得られなかった

一方で、暗闇を歩いていたからこそ

得られたお宝も少なからずあった

なかでも一番大きいお宝は

長いトンネルを抜けたという経験



いつかまた目の前にトンネルが現れても

今度はもっと手際良く脱出できるはず

迷っている誰かをおそらく助けられる

後悔という名のお宝が

僕の進路を照らしている



2014年4月27日作
2014年5月11日ラジオNIKKEI『私の書いたポエム』放送分


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 36136