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作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第6回   『このトンネルを抜ければ』
『このトンネルを抜ければ』2012-04-19


この暗く長いトンネルに入ってから

いったいどれだけの月日が経っただろう?

いつまで経っても出口の気配を感じなくて

入口へ戻りたいなんて何度も何度も思うはず

でも、それじゃここまでの歩みが無駄になるし

今更、力を振り絞ってふりだしなんてバカらしい



少しずつ少しずつ、でも確かに進み続ける

目の前に先に通った誰かの足跡があるから

この先はたぶん行き止まりなんかじゃない

諦めかけたときに限って、隙間から光が射す

それはトンネルの先の世界を予感させるから

立ち止まっても、後ずさったりなんてできない



どこかのエライ作家さんは言ったんだ

人生はメリーゴーラウンドなんてさ

グルグル周っても、また元の場所

そう認めてしまったら、もう動けないじゃないか

リング上のトンネルを周ってるなんて思わないで

円周のトンネルだとしても、これは螺旋のように



どれだけ歩いてきたかなんて、もうどうでもいい

でも、いつしかうっすらとトンネルは明るくなって

それは暗闇でもがく者の心に灯をともすんだ

トンネルを抜けた先に新たなトンネルがあっても

出入口という白に挟まれば、それまでの闇さえ白

そんなオセロゲームが繰り返されつづけるんだろう


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