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作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第54回   『あの日』
『あの日』

あの日、2分間ほどの激しい揺れにさらされながら

「隣町で一人暮らしのばあちゃんは大丈夫だろうか

これほど揺れていても、ここが震源ではないだろう

そして、震源付近では未曾有の事態に違いない」

僕はそんなことを考えていた



電気、水道、電話、みんな止まった

まだ3月の青森はストーブなしではいられないが、

電気を要するストーブは無意味で

テレビやパソコンも使えずに

頼りになるのはラジオだけだった



24時間後、電気や電話も復旧して一安心

ただ、お店から商品が無くなってしまった

ガラガラの陳列棚の中にあるのは酒とタバコ

「水がないならお酒を飲めばいいじゃない」

マリー・アントワネットのような言葉が頭をよぎった



ガソリンスタンドでは長蛇の列で

給油までに30分以上はかかった

しかも、一人10リッターや1000円分まで

そんな給油制限も設けられており

トラック野郎の怒鳴り声が響いていた



怪我をしたわけではない

2,3ヶ月間、不便だっただけ

あの日のすべては教訓となった

周りの人々が無事だったから

何より、今も僕は生きているから


2014年3月10日作
2014年3月23日ラジオNIKKEI『私の書いたポエム』放送分


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