『優しさの容量』
だれにも嫌われたくないと願う人もいる
でも、四方八方に優しさをふりまいても
きっと、四方八方がふさがるだけだろう
希釈された優しさなんてただの優柔不断
優しさには一定量の優しさが必要なんだ
人によって優しさの容量は違う
後天的に容量を増やすことはできるけれども
六十億人に振り分けられる量なんて無理だ
注ぐべき人たちに注げられたらそれで十分
いざというときに優しさが不足するほうが怖い
それに誰彼構わず優しくすることは
対立する人たちの不信を買うだろう
それはだれにも嫌われないどころか
だれにも好かれないかもしれない
嫌われることに脅えなくても大丈夫
たとえ、僕が僕を嫌いでも
そして、君が君を嫌いでも
受け止めてくれる人がたった一人いれば
それだけできっと僕らは生きていける
優しさの器は必要十分に満ちている
2010年05月11日作『キャパシティ』 2013年09月25日加筆修正 2013年11月10日ラジオNIKKEI『私の書いたポエム』放送分
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