20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第194回   『シーソー』
『シーソー』

シーソーに座っていた誰かが

端っこに座ってガタンと落ちる

その誰かはニヤリと笑ってこちらを見た



そして手招きしながら、にじり寄ってきた

笑っていたが、その眼は爬虫類のようで

怖くなった僕は必死に走って逃げ出した



地に落ちて脚を着いていれば

揺らがぬ安定感が得られるが

反面、その視界は限られる



左端にいたって、右端にいたって

そこが本当の居場所なんだろうか?

安定感という麻薬は、時に人を狂わせる



一度、地に着いた脚に力を込めて

宙ぶらりんになるのは不安だけれど

それでも、頑張って飛び跳ねよう



上下左右がほどよく見渡せるくらいに

反対側に座っているであろう誰かが

地面に脚を着かなくても済むくらいに



2008年12月26日作
2017年9月18日加筆修正
2017年11月26日ラジオNIKKEI『私の書いたポエム』放送分


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 35975