『茄子とメロン』
マスクメロンになりたかった
でも、僕は米茄子なんだ
色も形も違うし甘くもない
八百屋の王様マスクメロン
綺麗な箱や綿の家に鎮座している
100円で買えちゃう僕
僕らの住処はダンボール箱
醜いアヒルは白鳥になれたけど そんなおとぎ話は現実にはない
メロンはメロンで茄子は茄子
八百屋の主人はお客さんに言います
「メロンは不景気で売れないけど、
茄子は安くて調理法も多いしすぐ捌けて助かるなあ」
茄子の僕らを励ましてくれてるのだろうか?
でも、馬の耳に念仏
もとい、茄子の気孔に念仏なんだ
僕がメロンになれる方法を教えてください
せめてこの八百屋から逃げ出す方法を教えてください
茄子のまま調理されて人間の胃袋に入るしかないの?
2004年6月21日作 2017年8月6日ラジオNIKKEI『私の書いたポエム』放送分
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