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作品名:ねぶの詩集4 作者:ねぶ

第169回   『尾と口』
『尾と口』

鶏の口が牛の口になることはあっても

牛の尻尾が牛の口になることはない

口はどこにいたって口であり

尻尾はどこにいても尻尾でしかない



だってそうだろう?

尻尾が言葉を話せるかい?

尻尾で食事を摂れるかい?

尻尾は尻尾の役目しかできない



問題は口なら良くて

尻尾はダメだってことじゃない

それぞれ持ち場があるってこと

尻尾が口にあるからおかしくなる



鼻の下から生えた尻尾が

所在無さ気に振れているが

そこは顔であって尻じゃない

目障りなことこの上ない



口ならば、口でありつづけよう

鶏の口どころか虫の口だっていい

話さなくては、食べなくては

それは口ではないのだから



2012年1月17日作
2017年4月25日加筆修正
2017年5月7日ラジオNIKKEI『私の書いたポエム』放送分


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