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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第94回   『細胞City』
『細胞City』

こんなにも人が行き交う交差点で

多くのものが見えているのに

たった一つも視ていないんだ

たとえば君がハチの巣を見ているとして

ハチの一匹一匹の顔を覚えているかい?



この街は何千万もの細胞で形成される

この僕も街を成す細胞の一つだけれど

今にも細胞壁や細胞膜ははがされそう

自我は拡散し、あとに残るはもぬけの殻

街によって僕は稀釈されているようだ



視えない、聴こえない、届かない、わからない

求めれば求めるほどに、何もないって気づくんだ

だけど、足るを知らない僕は何かを求めつづける

世の中は因果応報、Give&Takeってなもんで

求められたいならば、何かを求めてみればいい



僕はこの街に不可欠な細胞ではないだろう

でも、誰かにとっての不可欠な細胞にはなり得る

核である僕が自分の細胞膜へそっと手を伸ばすと

かすかな温もりとわずかな脈動が感じられた

隣にいる誰かも同じ気持ちでいるのだろうか?


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