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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第89回   『無駄という名の余裕』
『無駄という名の余裕』

今時、給料袋を受け取る人はほとんどいない

ATMの画面を見れば、数字が増えている

今時、原稿用紙に手書きをする人はあまりいない

キーボードで打ち込んだほうがずっと早い

今時、本やCDを店頭で買うのは損をしている

ネット通販で買うほうが手軽かつ安価である

今時、有人の馬券売り場なんてほとんどない

それどころかネットで馬券が買える時代なんだ



今時……

今時……

今時……

今時……



デジタル化されたほうが手軽に利用できる

人件費を抑えられるから経済的である

紙を使わなければ環境にも優しいのかもしれない

それでも、機械相手では満たされないものがある



ATMの数字を眺めるより給料袋のほうがありがたい

ヘタだとしても手書きの文字には温もりが感じられる

本屋やCD店で物色しながら品定めをするのは楽しい

ネットで馬券購入するよりも、競馬場に行きたいんだよ



合理的、客観的、経済的……なんて甘い響き

けれども、それと善悪や好悪はまったくの無関係

無駄を無駄と思うから無駄なのであって

見方を変えればそれは余裕にもなりうる



僕は僕を無駄だと思った日々があった

君も君を無駄だと思う日々があるだろう?

でも、違う見方の人がどこかにいるんだよ

それが非合理的で、主観的で、非経済的なホモサピエンス



**************************************

【あとがき】
無駄を悪だと思いがちですが、そんなことはありません。
ときに無駄は余裕であったり、潤滑剤であったりします。
俺からすれば、朝の情報番組の占いコーナーなんて
無根拠に人を惑わす無駄なものに映るのですが、
それで幸せになれる人がいることもまた事実。
それは単なるプラシーボ効果に過ぎないとしても。


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