『トンネルの先』
8年前、僕はトンネルの中に入ってしまった
こんなに長いトンネルだなんて思わなかった
どれだけどれだけ歩いても終わりが見えない
一応、途中途中に灯りがついてはいたから
僕は次の灯りまで、また次の灯りまで
そうやって自分を叱咤しながら歩きつづけた
いつかトンネルを抜けられたなら
そこには入る前と同じ景色が広がっている
そんな風に思いつづけていた
トンネルの入口と出口で同じ風景
そんなことがあるわけないのだけれど
僕はなぜか元に戻れるような気がしていた
8年後、遂に僕は長い長いトンネルを抜けた
当然だけれどそこは入口とは違う景色で
でも、ささやかながらも満ちたりた場所だった
ここにずっといられたらいいと願ったけれども
僕の背中を時は無情にも押し流していく
そして、僕の前には新たなトンネルが待っていた
今日も僕はわずかな灯りだけを頼りに進んでいる
今度はどれだけ歩けば抜けられるのだろうか
もしかしたら、この先は行き止まりかもしれない
絶望と恐怖が僕の胸をかすめるとヒリヒリするんだ
その一方で、この先にどんな景色が待っているんだろう?
そんな期待や希望が僕の脚を前へ前へと押し出している
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