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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第87回    『トンネルの先』
 『トンネルの先』

8年前、僕はトンネルの中に入ってしまった

こんなに長いトンネルだなんて思わなかった

どれだけどれだけ歩いても終わりが見えない

一応、途中途中に灯りがついてはいたから

僕は次の灯りまで、また次の灯りまで

そうやって自分を叱咤しながら歩きつづけた



いつかトンネルを抜けられたなら

そこには入る前と同じ景色が広がっている

そんな風に思いつづけていた

トンネルの入口と出口で同じ風景

そんなことがあるわけないのだけれど

僕はなぜか元に戻れるような気がしていた



8年後、遂に僕は長い長いトンネルを抜けた

当然だけれどそこは入口とは違う景色で

でも、ささやかながらも満ちたりた場所だった

ここにずっといられたらいいと願ったけれども

僕の背中を時は無情にも押し流していく

そして、僕の前には新たなトンネルが待っていた



今日も僕はわずかな灯りだけを頼りに進んでいる

今度はどれだけ歩けば抜けられるのだろうか

もしかしたら、この先は行き止まりかもしれない

絶望と恐怖が僕の胸をかすめるとヒリヒリするんだ

その一方で、この先にどんな景色が待っているんだろう?

そんな期待や希望が僕の脚を前へ前へと押し出している


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