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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第73回   『こころの住人』
『こころの住人』

自宅の人

公園の人

食堂の人

職場の人

酒場の人

ホテルの人

その他あまたの人



その人たちの心の中には

大勢の人たちでにぎわっているだろう

僕の心の中にも何人かが住んでいる

住人がやってきては去っていく、その繰り返し

幼稚園や小学校時代の同級生の顔や名前なんて

もはや思い出せやしない、無理だ



僕の中には大きな主体としての僕が鎮座していて

多数の客体としての知人・友人が存在している

客体としての僕は知人・友人などの中に在るはず

客体としての自分は無数にちらばっているのだ

できればそれをつなぎとめておきたいと思う

そうしなければ、僕は僕のカケラを失うように思えるから



こんなことを書いてきたけれど、僕の心の居場所はどれだけあるのか?

親、きょうだい、親戚の中にはあると言えるけど、その他は自信がない

血族の中に居場所があるのは当たり前(不幸な例外もあるが)

血縁じゃない人にどれだけ承認されるか、カケラを預ってもらえるか

それこそが今の僕にとってたいへん重要なことだと思っている

この詩を読んでくれた貴方(貴女)の中に僕はいますか?



そばにいれば住人なのか?いや、そうじゃない

会ったことがなければ住人ではない?そんなことはない

魂のこもっていない空の器なんていらないんだよ

送り手の魂を受け手が感じられたならそれで充分

遠かろうが会いたい人はいて、それが互いに抱いていたならば

いつかはきっと出会えるだろう。大きな居場所を用意した上で



僕の心の中の建物は空室が目立っている

心を管理する僕にすきま風がふきすさぶ

黙っていても入居者は増えない

ビラ配りでもなんでもしなくてはならない

質より量でも構わない、増やさなくては

僕は気が触れそうなほど、どうしようもなくさみしいんだ……


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