『需要と供給』
求められても応えられないことがある
そんなことはあたりまえだけれど
需要者側は必死ですがりつく
そこでしか救われないかのように
ワラにもすがる想いを訴えてくる
でも、本当はそんなことはなくて
人は一人で生きていくだけの強さを持っている
なんて、キッパリ言えたらいいのだけれど
偽善者は中途半端に手を差し出して
そして、ドロ沼へと引きずり込まれる
だから、彼女は去り、僕は諦めた
引き留めるだけの力もなかったから
それから数年、彼女の立場が少しだけ分かった
前に視線を移して、彼女の幻影を見ながら
僕はヨタヨタをおぼつかない足取りで進む
その脇から僕の手を引くものがいる
僕は無駄に歳を食ったわけじゃない
この手を僕は支えきれないと分かった
でも、その手は確かに温かかったんだ
共倒れになるってわかっているのに
需要と供給なんて相対的なもので
こんな僕でも供給者になってしまうことがある
それでも、僕は僕を背負うだけでいっぱいいっぱい
僕は無情にも温かい手を振り払いながら
与えられるナニカを求めながら前進前進
その手をもつ誰かに恨まれてもしかたない
それに八方美人になんて意味がないから
いつか僕が供給者たる立場に至れたら
そのときは振り払ったはずの温かい手を握りかえそう
今はもう少し自分中心でイカせてください
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