『虚光の世界−Love the shadow−』
太陽、月光、街灯、ネオン、車のライト……
街にはまばゆいばかりの光があふれている
しかし、多くの光は後ろに影を浮かばせない
こんなに光に照らされているというのに
あの人もこの人も、ビルも車も影がない
人々が影を忌み嫌うにつれて
光は影を伴わなくなったのか?
道行く人々は気にも留めていないように見えた
夜であっても、こんなに光はあふれているのに
一方の影はほとんど見当たらない
光と影は表裏一体、切り離せないもので
影なき光はまやかしなんじゃないか
そう思うと、このギラギラした光が
とてつもなく薄気味悪く思えてきた
自分の影のなかに隠れてしまいたかった
振り返ってみると僕の影も
みるみる薄くなっていく
ああ、ああ、ああ、ああ
僕の影も消えつつあった
早く本当の光を見つけなければ
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【あとがき】 前々作にも書きましたが、言葉と現実が乖離しているように思います。 血液型占いが隆盛し、すぴりちゅあるだかなんだかが流行る時代。 騙す奴が悪いに決まっていますが、騙される人にも落ち度はあります。 光ばっかり見ているから、他人の影に足元すくわれる。 そんな気がします。
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