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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第56回   『社会のコマ』
『社会のコマ』

子どもの頃はみんなが王将や飛車に憧れるだろう

金将や銀将に憧れている子どもなんて夢がない

ずっと歩兵のままだと諦めている子どもがいたならば

歩兵も前に進みつづけられたら金将にはなれる

それが夢という名の原動力であることを教えたい



飛車や角を目指したはずの僕はきっと桂馬

それも基盤の端に追いやられてしまって

基盤から飛び落ちそうなのを必死に堪えている

唯一進めるマスには既に味方のコマがあって

どうにもこうにもイキ詰まってしまっているんだ



マスが空くのが先か?

敵に取られてしまうのか?

基盤から飛び降りてしまうのか?

前方から敵の歩兵が迫ってきている

でも、僕は目の前のものには手を出せない



マスよ、どうか空いてくれ!

端っこでも構わないと思っていたけれども

端のマスでは基盤の外へ追いやられそう

真ん中へ、真ん中へ、少しでも真ん中へ

僕は僕の居場所、役割を見つけたいんだ



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