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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第55回   『モットヒカリヲ』
『モットヒカリヲ』

真夜中に目覚めた僕は、蛍光灯のヒモを探す

あるべき場所を探っているはずなのに

振りかざした手は空しく空を切るばかり

次第に胸の鼓動が高鳴るのがわかる

暗いからではなく、ヒモが見当たらないから



どうせ夜が明ければ明るくなる

なんて言い訳をしてみても

ヒモが気になり眠れない

ない、ない、どこにもない

ない、ない、見つからない



鼓動どころか肺や腸の動きまでわかる

顔はもちろん脚の裏まで汗をかいている

ヒモはどこだ、ヒモはどこだ!

ヒモはどこだ、ヒモはどこだ!

光を!光を!僕にもっと光を!



そのとき僕は心の中にヒモを見つけた

大きく深呼吸をして、目をつむってみる

そして、漆黒の闇の中へ一歩踏み出す

そうすると何かがほおをかすめた

蛍光灯のヒモだった



蛍光灯をつけることさえ七転八倒

夜の眠りにつくことさえ四苦八苦

そんな僕を満月はあきれたように見つめていた

僕も満月を見つめ返して、七転び八起きを誓った


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