『モットヒカリヲ』
真夜中に目覚めた僕は、蛍光灯のヒモを探す
あるべき場所を探っているはずなのに
振りかざした手は空しく空を切るばかり
次第に胸の鼓動が高鳴るのがわかる
暗いからではなく、ヒモが見当たらないから
どうせ夜が明ければ明るくなる
なんて言い訳をしてみても
ヒモが気になり眠れない
ない、ない、どこにもない
ない、ない、見つからない
鼓動どころか肺や腸の動きまでわかる
顔はもちろん脚の裏まで汗をかいている
ヒモはどこだ、ヒモはどこだ!
ヒモはどこだ、ヒモはどこだ!
光を!光を!僕にもっと光を!
そのとき僕は心の中にヒモを見つけた
大きく深呼吸をして、目をつむってみる
そして、漆黒の闇の中へ一歩踏み出す
そうすると何かがほおをかすめた
蛍光灯のヒモだった
蛍光灯をつけることさえ七転八倒
夜の眠りにつくことさえ四苦八苦
そんな僕を満月はあきれたように見つめていた
僕も満月を見つめ返して、七転び八起きを誓った
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