『シーソーシーン』
シーソーに座っていた誰かが
端っこに座ってガタンと落ちる
その誰かはニヤリと笑ってこちらを見た
そして手招きしながら、にじり寄ってきた
笑っていたが、その眼は爬虫類のようで
怖くなった僕は必死に走って逃げ出した
落ちて地に脚を着いてさえいれば
揺るぎない安定感が得られるが
その視界はたいへん限られる
左端にいたって、右端にいたって
そこが本当の居場所なんだろうか?
安定感という麻薬は、時に人を狂わせる
一度、地に着いた脚に力を込めて
宙ぶらりんになるのは不安だけれど
それでも、頑張って飛び跳ねよう
上下左右がほどよく見渡せるくらいに
反対側に座っているであろう誰かが
地面に脚を着かなくても済むくらいに
地に脚がつかない空回りする足元でも
迷い、悩み、もがく、その信念は
どんな幻の大地よりも揺るぎない
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