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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第52回   『メガネマン』
『メガネマン』

寒空の下で僕は車を走らせる

何のアテもなく、目的地もない

ガソリンも底をつきそうだった



車を止めようと駐車場を探したけれど

それがなかなか見つからなかった

見かけるのは「馬主車場」ばっかり



なんてセレブな世の中なんだろうと

わけのわからない敗北感を感じながら

よくよく見てみればそれは「駐車場」だった



メガネのレンズがくもっているのか

ココロのレンズがくもっているのか

たぶんその両方だろう



こんな視界がくもった状態じゃ

安心してドライブができやしない



ナビなんてしゃれたもんはないので

地図を見ながら、目をこすりながら

メガネ店に向かって僕は車を走らせる



メガネ店の店員に事情を話すと

店員は奥からレンズクリーナーを持ってきた

決して安くはなかったが、僕はそれを買った



そんなレンズクリーナーだったが

あるとないとでは大違いだった

眼球がメガネを突き破るほど驚いた



「辛ラーメン」が「幸ラーメン」に見える

「変心」が「恋心」に見えてしまうんだ

すごいな、このレンズクリーナー



これでしばらくは安心してハンドルを握れそう

今度はお金を貯めてナビを手に入れようか

うっすらと目的地が見えたような気がした


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