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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第35回   『軸と空間』
『軸と空間』

末は博士か大臣か

こんな言葉はもはや死語

それでも博士や大臣になれたなら

それはX軸の先端に近いかもしれない



近頃目に付く凶悪犯罪者たち

異常者なんて声も聞こえるけれど

きっとX軸からも外れてはいないだろう

ただ、X軸の逆方向の先端にいるだけだと思う



きっとあの人はX軸にもY軸にもたぶんいない

X軸とY軸で表される平面空間にはいなくて

Z軸を加えた立体空間のどこかにいるのだろう

そのことが幸せかどうかは知る由もないけれど



僕はX軸に近いどこかにいるような気がする

X軸上に在るのはつまらないなんてうそぶいた日々

でも、僕は立体空間をさまよえるほどの気力はなくて

反面で、X軸上に戻ろうとしているのにためらう意気地なし



もう一歩、もう一歩と脚を上げてみたけれど

その脚を下ろすことへの不安がぬぐえない

モタモタしていたら、下ろす場所さえなくなるなんて

そんなことは十分わかっているにも関わらず



明日の僕は、来年の僕はどこに在るのだろう?

望んだ座標になんて行けそうにないけれども

せめて明日に脅えずにいられる場所にいたいんだ


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