『刹那の世界』
目の前に広がるモザイク模様の世界
頭の中にある一糸乱れぬ理想の世界
その間にあるクレバスに陥りそうになる
ある人は助走をつけて飛び越えようとする
またある人はロープを渡して理想の世界を目指す
人はみな、クレバスに陥らないように必死なのだ
でも、目の前のモザイク模様の世界は噂に過ぎない
頭の中の一糸乱れぬ理想の世界は妄想だろう
現実の世界はそのいずれでもない
クレバスでのジャンプ、綱渡り、到達、転落
それに伴う悲喜こもごもの感情
それが現実の世界
たとえ対岸へたどりついても
そこは理想の世界ではなく
新たな現実の世界の始まりに過ぎない
それでも僕が対岸にたどり着いたなら
まずはコーヒーを飲みながらタバコを吸おう
それから時間を気にせずに寝てしまおう
目覚めたときには少しだけモザイクが取れているかもしれない
理想の世界へとほんのわずかに近づいているかもしれない
自らがそう感じること、それもまた現実の世界
今、この瞬間にはおよそ60億の世界が在るのだ
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【あとがき】 皆様、新年明けましておめでとうございます。 新年早々、堅苦しい作品ですみません。 年末年始といろいろもの思うところがあり、 このような作品になりました。 今年も俺および俺の作品のほうをよろしくお願いします。
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