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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第2回   『フタ』/『僕を連れて』
『フタ』

器に満ちた愛情はいつしかからっぽになる

たとえば、故意に器を倒すようなことがなくても

きっと愛情は冷えると気化し、沸騰すると凝固するのだろう



冷えそうな愛情ならば、フタをすれば良かったのかもしれない

だけど、僕にはフタを作る技術も、買うお金もなかったんだ

自分のふがいなさ、甲斐性のなさに唇を噛み締めてしまう



とりあえず今は、フタつきの保温容器を買おう

僕が未だ知りえぬ愛情を守れるように



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『僕を連れて』

弱い僕だと開き直りたかった

誰かに連れていってほしかった

でも、それじゃ僕は僕じゃない

誰かの中の一部でしかない



連れていこう

僕自身の力で

放ってはおけないから



弱い僕を連れていくのは

まだ少し重荷だけれど

そのうち慣れるだろう

それが他の誰でもない僕の責任




一人じゃない

そう鏡に向かって言い聞かせてみる

僕の瞳に映るのは、昨日と違う今日の僕





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