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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第139回   『螺旋階段のように』
2011-09-02 Fri 19:31

『螺旋階段のように』

耳をすませば虫の音

秋雨と共に奏でれば

星空ホールのBGM

それだけでもう十分で

ステレオはオフにする



照りつける初秋の日射しは

稲穂を黄金色に染め上げる

その黄金の海に引かれた

まっすぐな線を駆けたなら

きっとそれだけで満たされる



たぶん駆け抜けた先の林には

まだ青い果実しかないけれど

その実りを容易く想像できる

そして、その想像力こそが原動力

目前のニンジンに食いつく馬のように



取り逃したお宝なんてどうでもいい

今どこにいるかもどうだっていい

考えてもどうにもならないだろう?

この先に何を手にできるのか

期待めいた予感だけがあればいい



たとえ3ヶ月後の吹雪が瞼の裏に浮かんでも

6ヶ月後の花吹雪を頭の中に描けたならば

誰も踏み出す脚を止めたりしないだろう

まるで繰り返されるルーティンワーク

でも、それは螺旋階段のように上へ上へと続いているんだ


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