『サラウンドフィッシュ』
101010101010101010101010101010……
広い広い情報の海を游ぐ魚の群れがいる
海面上にいる漁師はあの手この手で
群れを捕まえようと手ぐすね引いて待っている
網にかからないように、釣られないように
魚の群れはみんな必死に游いでいるんだ
「何処其処はおさかな天国らしい……」
美味しそうなエサがいくつもあるなんて
そんな美味い話は漁師のワナだろう?
アナログスピーカーで聴いていたら
きっと大切な何かを聴き逃してしまうよ
釣り上げられてからじゃもはや手遅れ
耳が2つあるのなら、両方を活かさなきゃ
ステレオスピーカーで聴いてみれば
どれだけ聴き逃してきたかに気付くんだ
「アイツは釣られたし、ソイツは食われた」
もちろん良い話ばかりじゃないけれど
生き抜くためにはどれもとても大切なもの
耳を両方とも活かしても、まだまだ不十分
漁師は網や釣竿に頼るだけじゃないんだ
ソナーやレーダーだって駆使するだろう
声になりきれない情報が腹部に響く
聴くだけじゃ逃れられないことがある
視るだけじゃ救いきれないこともある
五感を研ぎ清ませば感じるものがある
アナログはもちろん、ステレオをも越えて
手も足もすべて……全身を受容器に換えて
サラウンドスピーカーの波を受け止めよう
たとえ何も視えなくても、何も聴こえなくても
甘く危険なワナは身体で感じられるのだから
(2011年5月25日作)
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