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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第134回   『サラウンドフィッシュ』
『サラウンドフィッシュ』

101010101010101010101010101010……

広い広い情報の海を游ぐ魚の群れがいる

海面上にいる漁師はあの手この手で

群れを捕まえようと手ぐすね引いて待っている

網にかからないように、釣られないように

魚の群れはみんな必死に游いでいるんだ



「何処其処はおさかな天国らしい……」

美味しそうなエサがいくつもあるなんて

そんな美味い話は漁師のワナだろう?

アナログスピーカーで聴いていたら

きっと大切な何かを聴き逃してしまうよ

釣り上げられてからじゃもはや手遅れ



耳が2つあるのなら、両方を活かさなきゃ

ステレオスピーカーで聴いてみれば

どれだけ聴き逃してきたかに気付くんだ

「アイツは釣られたし、ソイツは食われた」

もちろん良い話ばかりじゃないけれど

生き抜くためにはどれもとても大切なもの



耳を両方とも活かしても、まだまだ不十分

漁師は網や釣竿に頼るだけじゃないんだ

ソナーやレーダーだって駆使するだろう

声になりきれない情報が腹部に響く

聴くだけじゃ逃れられないことがある

視るだけじゃ救いきれないこともある



五感を研ぎ清ませば感じるものがある

アナログはもちろん、ステレオをも越えて

手も足もすべて……全身を受容器に換えて

サラウンドスピーカーの波を受け止めよう

たとえ何も視えなくても、何も聴こえなくても

甘く危険なワナは身体で感じられるのだから

(2011年5月25日作)


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