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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第133回   『正負の感情』
『正負の感情』

誰かを殺したのは死刑にされたかったから

君を嫌ったのは君に嫌われたと思っているから

君を苦しめたのは君に苦しめられたと感じていたから



四畳半のココロのなかに閉じこもっていたなら

相手の本当の気持ちなんてわかりようもない

それどころか相手の気持ちを踏みにじり

ただ、独り善がりに思いこんでいただけ



−1の感情を受け取って、−1を足して次へと送るのは容易い

次の人は−2の感情を受け取り、−2を加えるのだろうか?

−100を超えたら、−10000を超えたらいったいどうなるんだろう



君を愛したのは君に愛されたかったから

君に微笑んだのは君に微笑まれたかったから

誰かに優しくしたのは誰かに優しくされたかったから



注いだ想いが目の前で反射されるとは限らない

巡り巡って思いもよらぬところから戻ってくる

働きかける思いは必ずどこかで誰かが受け止める

卵が先か、ニワトリが先かなんてどうだっていい



+1の感情を受け取って、+1を足して次へと送るのも容易い

次の人へ+2の感情を送るのも間違いじゃないけれど

+1.1に抑えておいて、負の感情が回ってきたときに打ち消せたらいい



自分が負の感情を背負ってまで、正の感情を送ることは難しい

聖人にはほど遠い僕にはそんな真似はきっとできないだろう

それでも自分が±0で、誰かに正の感情を送れるならば送るさ

それだけで世界はほんのわずかだけ正へ向かうと信じている

(2011年5月19日作)


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