『触媒』
一歩を踏み出すことがひどく不安で
道を誤ったなら二度と戻れないようで
ささいな物音は背筋につららを射し込む
今夜も独り、漆黒の山中を歩いている
ここはどこだ?
あれはなんだ?
ぼくはだれだ?
なにもかもわからない
巡り巡る思考の末のタイムロス
気づいたときには置いてけぼり
考えるヒマよりも感じるままのアクション
七転八倒の末の七転八起でオーライ
なんとかなるさ
なんとかなるさ
なんとかなるのにどうにもできない
万物流転が世の常ならば
僕が動けば、僕の周りが変わる
さらに僕の周りが僕を変えていく
それはまるで螺旋のように
こんなわからなさは死ぬまで決して消えることはないだろう
でも、わからなさを不安に変えるのも、期待にするのも僕だ
それは絶望にも希望にも変えられる表裏一体のもの
なんとかなるさ
なんとかなるさ
なんともならなくてもなんとかなるさ
(2011年5月4日作)
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