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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第123回   『半熟偽善者』
『半熟偽善者』

バスの中で立っているお年寄がいた

僕は一声かけて、席を譲ろう

お年寄は「ありがとう」の一言

その一言にささいな満足感



イイ人なんかじゃないさ

イイ人だと想われたい

イイ人だと想い込みたい

ただ、それだけのこと



間に入りたそうな車を見かけた

僕は車を止めて、手招きしたけれど

その車は素知らぬ顔で走り去った

僕はそれを見て、怒りが込み上げる



もちろんワルイ人なんかじゃないよ

でも、イイ人だと想い込みたいのに

それじゃイイ人と想い込めないだろう

ただ、それだけのこと



僕の偽善を持ち逃げしないで

偽善でいいから返してくれよ

世の中はGive&Takeだろう

社会の潤滑剤を減らすなよ



自分の身を犠牲にしてでも

他人を助けたいと思うなら

それがきっと善意なのかもしれない

つまらぬ僕にはそんな気持ちはない



でも、自分が±0だとしたら

それであなたが+になれるなら

助けてあげたいとは思うんだ

打算的かな?利己主義かな?

それよりちょっとはマシだろう



幸福と不幸を電卓ではじき

ささいなことで幸せになり

ささいなことで憤慨する

そんな僕は半熟偽善者

ハードボイルドにはなれないや


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