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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第121回   『パラレルリンク』
『パラレルリンク』

ときどき喉の奥のそのまた奥の方から

胃液が逆流するような想いが込み上げてくる

さっさと吐き出しちまえば楽になれんのに

ただただ、歳ばかり大人になった僕は

何食わぬ顔してソレを飲み込み返す



それでも耐えられない夜だってあるさ

そんな夜はほこりまみれのアルバムを開いてみる

充実した青春なんてちっとも送ってないけれど

わずかばかりの甘さや刹那さが頓服のように

胃液のような想いをどうにか鎮めてくれる



ああ

僕の前から去った君も

同じような気持ちを抱えていたのかなぁ?

ああ

いつか僕の前にいる君も

同じような気持ちを抱えているのかなぁ?

僕だけじゃない、だいたいがそう

そう想って生きている



開いたアルバムを見ると、若い僕が蒼い夢を語っていて

今日の僕は恥ずかしさと申し訳なさで土下座したくなる

若い僕は今日の僕をたぶんきっと許さないだろうけど

未来の僕が今日の僕を許してくれたらそれだけでいい

それも無理かな?いいや、たぶん大丈夫



昔、夢見たようには生きられないけど

昔、夢見た夢は今も僕の中で生きていて

それが若い僕と今日の僕

今日の僕と未来の僕を結んでいて

僕の周りの人達をも結んでいる



ああ

僕の前から去った君も

同じような気持ちを抱えていたのかなぁ?

ああ

いつか僕の前にいる君も

同じような気持ちを抱えているのかなぁ?

僕だけじゃない、だいたいがそう

そう想って生きている



まるで孫悟空の元気玉のように

僕は出会った人達から元気をもらっていて

それでなんとか生きている

たまには哀しみや憤りももらっているけど

僕だけじゃない、だいたいがそう

そう想って生きている



今日の僕が周りに元気を与えているかなんて知らないけど

もしも与えていないなら、いつかまとめて返さないとなぁ

謝辞を述べて、利子をつけて、愛を込めて

これまでに僕が出会ったすべての人達へ


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