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作品名:ねぶの詩集3 作者:ねぶ

第105回   『イルカになりたい』
『イルカになりたい』

「うん、うん、あなたの気持ちがよくわかる」

その言葉で何もわかっていないことがわかる

出来合いの言葉は無邪気に胸をえぐりとる

既製品じゃなくて、いびつだってかまわない

噛み砕いて消化して、それを吐き出して

あなただけの言葉を伝えたらそれでいい



あなたの痛みはあなたの痛み

どうしても僕にその痛みが届くことはない

痛みがわかるだなんてたやすく言うなよ

他人のオナニーは鎮痛剤になんかならない

でも、分からないことを分かろうとしてくれる

その姿勢はきっと傷口を優しく包むだろう



「良薬は口に苦し」と言うじゃないか

甘い言葉じゃどんな痛みも癒せないけれども

冷たく苦いロジックを想像力のオブラートで包む

それは特効薬になれなくても頓服にはなりうる

言葉の限りを尽くしても1/3も届かないけれど

その1/3があなたを動かす触媒になればいい



どれだけの言葉で僕は人を傷つけてきただろう?

どれだけの言葉で僕は人に傷つけられてきただろう?

どれだけの言葉で僕は人を癒せただろうか?

どれだけの言葉で僕は人に癒されてきただろうか?

言葉は核兵器以上の破壊力で、どんな薬よりも効く

そんな僕は今、イルカになりたい


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