午前の授業が終わり、弁当を持って、校長室に行く途中、できれば今は会いたくない人物に会ってしまった。真理子だ。別れてから一度だけ話しただけで、お互い今では目も合わせないようにしていた。なのに、今日に限って、真理子は声をかけてきた。
「辰巳」
「お…おう。久しぶり」
別に話さないだけで、お互い同じ学校なのだから、姿はよく見るのに、つい久しぶりなどと言ってしまった。
「今日、彼女来てるんだって?」
クラスルームがある棟と校長室や職員室のある棟は別で、渡り廊下で繋がれてる。なぜかそこには僕と真理子しか居ず、彼女の声が嫌によく響いた。
「ああ、その…付き合ってるんだ。今」
「…らしいね、すっごい聞かれた」
「え?マジで?」
「別れてからだいぶ経つのに、みんなからしたらつい最近なのかな」
「あーかもな。」
「辰巳はもう、私のことなんて思い出さないってカンジだけど」
「…ンなことないって」
「まぁね、私の方がイイ女だし」
「ははっおまぇ…自分で言うなよ」
「私も彼氏できたから」
真理子は急に真剣に言った。
「お…めでと」
「ありがと。次はね、8:2だから大丈夫」
「?どういう意味だよ」
「だぁかぁら〜、辰巳との時は好きって気持ちが辰巳が2くらいで私が8だった!!」
「あ、そういう意味。じゃあ今の奴はお前に惚れてんだ」
「そうだよ。ちょ〜っと物足りないけどね。でも、お互いが同じだけ好きなのはありえ ないじゃん。それに女はやっぱ思われてなんぼだしね〜」
「良かったな」
「ねぇ、辰巳は?」
「は?」
「辰巳と彼女の好きの割合は?」
あの後すぐに真理子の友達が彼女を呼んだおかげで僕は解放された。そして、校長室の前に立って、扉を開けれないでいる。僕はこの時考えていた。僕と彼女の好きの割合。 それは、どっちが多くて、どっちが少ないのか。
「入らないの?大野くん」
振り返ると坂窓先生が不思議そうに僕を見ていた。
「あ、入ります!」
その疑問を頭から追い出して、僕は扉を開けた。というよりも、僕は信じてた。僕たちの気持ちは、きっとお互いが100%だと。
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