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作品名:犯罪とおばあちゃん。 作者:ムク

第2回   2
・・・あれから2週間。


3人は贅沢三昧ですでに金欠状態だった。

先輩は毎日パチンコや飲み歩き。

友人と龍二は服やバイクの部品を購入。

一人50万のお金が無くなるのにそんなに時間はかからなかった。

そしていつものように龍二の家に3人は集まっていた。

「金もないし暇だな〜」何気なく友人が言った。

「無いなら作れば良いんじゃないか?」

先輩のこの一言がまた良からぬ方向に向かって行ったのです。

今度はじっくり計画を練って、お金がたくさんありそうな所を考えた。

友人が「洋服屋は?」と言ったが却下された。

しばらく考えていると、先輩が「パチンコ屋の交換所は?」と言った。

確かにパチンコ屋にはお金はたくさんある。

だが、その分防犯もしっかりしていそうだ。

先輩は負け続けている店がムカついていたのだった。

そこのパチンコ屋は小さなパチンコ屋で、店員も交換所の人も年配の方ばかり。

交換所を見た限りでは簡単に壊せそうなドアだし、周りに民家なども無い。

「そこにするか」と3人は決めた。

その日の夜1時頃3人は車でパチンコ屋の駐車場にいた。

何時頃に店員がいなくなるか確認しようと下見に来ていたのだった。

沖縄のパチンコ屋は大体夜12時まで開いている。

このパチンコ屋は出入り口が2つしか無いので人の出入りを見るのは簡単な事だった。

3時過ぎになると駐車場には一台も車がいなくなった。

「大体この時間だな!」と時間の目安を付け、その日は龍二の家に戻ったのでした。

翌日、夜龍二の家に集合した。

道具の準備をして、時間が来るのを待っていた。

今回の見張りは友人に決まった。

前回同様クラクションを一回鳴らすという事で友人に任せた。

時間が来た!

3人は車に乗り込み目的のパチンコ屋に向かった。

駐車場に着き、周りに車など無いか確認した。

大丈夫なのを確認して、まずは龍二がガラスを割りに行った。

しかしガラスが厚くて割れないのである。

先輩がバールでガラスを割ろうとしてもビクともしない。

何度か試しても割れないので結局その日は諦めて龍二の家に戻った。

どうすれば割れるか?と話し合っていると、友人が「最初の美容室みたいにドアをこじ開ける?」と言いました。

周りには民家など無いし音が出ても大丈夫だと思いその方法で実行する事になった。

翌日・・・夜中3時頃3人はパチンコ屋の駐車場にいた。

先輩と龍二が交換所のドアをバールでこじ開けた。

「ボガンッ」と大きな音がなり、2人は急いで車に戻り30分程様子を見た。

警報があれば警察が来るだろうと思い様子を伺っていた。

誰も来ない。

「警報は無いみたいだな」行くか。

龍二と先輩は交換所に向かった。

中に入りドアを閉め、物色した。

大きな金庫が一つあるくらいで、他に探す所は無い。

机の引き出しに鍵がかかっていた。

龍二は鍵ではなく引き出し自体を壊した。

すると中からたくさん鍵が付いたキーホルダーとメモ帳などが落ちてきた。

「よしっ」とその鍵を手当たり次第金庫にはめていった。

なかなか合う鍵が無い。

焦りながらも何回目かに「カチッ」と鍵が開いた。

金庫を開けると、中には見た事も無いくらいの現金が入っていた。

おそらく1千万近くはあっただろう。

そのお金を入れる袋を取りに先輩が車に戻った。

その直後「パッ」とクラクションが鳴った!

まさかと思い身を低めて中から鍵を閉めた。

ガラス越しに車のライトが通り過ぎるのが見えた。

「なんだ車か」と車が通り過ぎるのを確認して、また金庫を物色していた。

先輩が戻ってくるのが遅いな?と思ってはいましたが、袋を探しているんだろうなと
物色を続けました。

少しすると光がチラチラ見えました。

電灯も持って来たんだ?と思い気にしていませんでした。

すると、「ドンドン」「ドンドン」とドアが叩かれました。

ドアノブをガチャガチャしています。

戻ってきたと思いドアの方に近寄ると、先輩の声が聞こえました。

「中は知らないって」 ん? 何か変だ?

誰としゃべっているんだ?

今度は違う声「知らないわけ無いだろ」 ん?

ヤバい!誰かに見つかった!と龍二はゆっくり金庫のドアを閉め部屋の隅っこに座っていました。

また「ドンドン」と叩きました。

じっとしていると何も聞こえなくなりました。

ゆっくり窓から外の様子を見てみると、車を止めた駐車場にパトカーがいました。

そのパトカーに友人と先輩が乗せられています。

どうしようと考え、龍二は思い切った行動に出ました。

ドアを開けて一気に走る!という事です。

龍二はドアを開け、車の反対側に思いっきり走りました。

警察官には見られてない事を確認して、パチンコ屋の隣の草むらに隠れました。

そこから様子を見ていると、また1台パトカーが来ました。

後から知ったのですが、そこの警報はドアが開いたら鳴るのではなく人が入ったら鳴る
タイプで、入った本人達には聞こえないやつだったのです。

しばらく警察官がウロウロしていましたが、明るくなる頃には誰もいなくなってました。

どうにか安心して家に帰り眠りにつきました。

眠って間もない昼過ぎに「ピンポン」「ピンポン」と何度もチャイムが鳴りました。

親は仕事でいないので家には龍二1人です。

龍二が出るまで何度もチャイムが鳴り続けました。

うるさいなと思い玄関を開けると、そこには男の人が4人立っていました。

「ハイ?」と聞くと、一人の男性が龍二君は君?と聞いてきました。

「そうですけど?」と返事をすると、いきなり腕をつかまれちょっと来てと車に乗せられました。

そして車の中で警察手帳を見せられ、「昨日はどこにいた?」など聞かれました。

「ずっと家にいた」とうまくごまかしたつもりでした。

1人の警察官が、「防犯カメラに君達が映っているんだけど?」と言い、あと2人ももう捕まって警察署にいる事を知らされました。

2人が捕まった事は昨日見ていたから分かる事でしたが、まさか防犯カメラに撮られてるとは思いませんでした。

もうだめだと思い犯行を認めました。

それから警察署に行き、色々別件も聞かれましたがこの事件だけしか知らないと言い張ってました。

それから3人とも親に引き渡され帰宅です。

母親は狂ったように龍二を責めましたが、龍二には気になりませんでした。

数日後3人はまた龍二の家にいました。

逮捕時の事などを談笑していると、「ピンポン」と鳴りました。

龍二が出ると、この前の警察官でした。

「何ですか?」と龍二が言うと、「ちょっといいかな」と龍二と友人が呼ばれました。

そして車に乗せられて、この前空き巣にあった電気屋から2人の指紋が出てきたと言われ、そのまま連行されました。

警察署で取り調べを受け、結局ばれてしまいました。


それから何日かが過ぎ、いよいよ裁判所に出頭する日です。

友人と先輩はその前の日に家庭裁判所に行き保護観察処分で戻ってきましたので、龍二も大丈夫と確信していました。

裁判所に行き色々聞かれました。

龍二の場合は空き巣2件と無免許運転の3件でした。

裁判官に「もう二度と無免許も空き巣もやらないか?」などと聞かれ、龍二は「分からない」や「バイクは乗る」などと強がって答えました。

頭の中ではどうせ保護観察程度で帰れるだろ!と甘い考えでした。

結果「反省が見えない、教育が必要」と判断され、鑑別所送りです。

強がるんじゃなかった!と反省してももう遅いのです。












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